ビアース川

ビアース川

ビアース川（ヒンディー語: ब्यास、パンジャーブ語: ਬਿਆਸ、英語: Beas River）は、インド北部を流れる重要な河川です。この川はヒマーチャル・プラデーシュ州の中部に位置するヒマラヤ山脈から源を発し、パンジャーブ州でサトレジ川と合流します。全長は470km、流域面積は20,303km²に及んでいます。

語源

ビアース川の名前は古代の文献に登場します。ヴェーダでは「Arjikuja」と記され、古代ギリシャでは「ヒファシス」として知られています。この名前は、古代の賢者ヴィヤーサに由来しているとも言われ、彼がヴィヤース・クンド湖からこの川を作り出した伝説があります。

歴史的背景

紀元前326年、アレクサンドロス大王の軍勢はビアース川の近くで休息を取りました。兵士たちは故郷を離れて8年が経っており、これ以上の進軍を拒否しました。このため、アレクサンドロスは反抗的な兵士たちを説得できず、やむを得ず引き返すことになります。

また、ラージャシェハラの文学作品「Kavyamimansa」によると、プラティーハーラ朝のマヒーパーラ1世が治めていた時代、王国の北西の境界がビアース川の上流まで広がっていたと言われています。1285年には、チャガタイ・ハン国と奴隷王朝の間でビアース川を巡る戦闘がありました。

20世紀には、ビアース計画が推進され、農業用水の供給と水力発電を目的としたインフラ整備が行われました。その一環として、1974年にポングダムが、1977年にはパンドーダムが完成しました。ポングダムはタールワーラ地域の灌漑を主目的とし、360MWの水力発電を行うようになりました。パンドーダムはサトレジ川の発電所に水を供給し、990MWを生み出しています。

地理的特徴

ビアース川はロータング峠の南側にあるクールを通過し、この付近で標高4361mに達します。その後、マンディー県を通過し、カーングラー県で590mまで標高が下がります。カーングラー県のReh近くでは三つに分流し、Mirthalを経て再び合流します。この地点での標高は300mほどです。この後、ホシアールプル地区で北に転向し、カーングラー県との境界を形成した後、シヴァリク山の側を流れ、グルダースプルとホシアールプルの間を通過します。最後にアムリトサルとカプールタラーの間でサトレジ川に合流します。

ビアース川は、インドのインダスカワイルカや、ゴールデンマハシール、ホッグジカ、ビロードカワウソ、インドガビアルなど、多様な生物が生息する場所でもあります。ポングダムの貯水池とその本流はラムサール条約に登録されています。

1960年に締結されたインドとパキスタン間のインダス水協定では、ビアース川の水がインドに割り当てられています。

2014年の事故

2014年6月8日、ビアース川では工学部の学生24名とツアーガイド1名が溺死する tragicな事故が発生しました。この日はラールジダムの水門が開いていましたが、周辺には警告標識がありませんでした。学生たちがダムに近づき写真撮影をしていると、突然水位が1.8メートル上昇し、全員が流されてしまったのです。この事件は多くの人々に衝撃を与えました。

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