ビクタートーキングマシン

ビクタートーキングマシン（Victor Talking Machine Company）は、1901年から1929年にかけて存在したアメリカ合衆国のレコード会社です。そのルーツは、1895年にエミール・ベルリナーによって設立されたベルリーナ・グラモフォン社に遡ります。

設立と発展

1901年、エルドリッジ・R・ジョンソンによってビクタートーキングマシンは設立されました。ジョンソンの革新的な経営手腕により、同社は急速に成長を遂げ、アメリカを代表するレコード会社の一つとなりました。1927年には、日本法人である日本ビクター蓄音機株式会社（現在の株式会社JVCケンウッド）が設立され、日本市場にも進出しました。

RCAによる買収

1929年、ビクタートーキングマシンは電気機器メーカーのRCA社（現在の仏国ヴァンティヴァ社）に買収され、RCAビクター社（現在の米国ソニー・ミュージックエンタテインメント社）が設立されました。この買収により、ビクターはRCAの傘下に入り、新たな時代を迎えることになります。

ビクトローラの開発

ビクターの歴史において特筆すべきは、1906年に開発された蓄音機「ビクトローラ（Victrola）」です。従来の蓄音機とは異なり、木製キャビネットの中にターンテーブルとホーンを収めることで、外観の機械らしさを減らし、家具のような洗練されたデザインを実現しました。このデザイン重視のアプローチが奏功し、ビクトローラは発売されるとすぐに大ヒット商品となりました。15ドルの小型卓上モデルから600ドルの高級モデルまで、様々な大きさやデザインのモデルが販売され、ビクトローラは家庭用蓄音機の人気ブランドとして確立されました。

著名な専属アーティストたち

ビクタートーキングマシンは、数多くの著名なアーティストを抱えていました。以下はその代表的な例です。

ネリー・メルバ
ルイーズ・ホーマー
エンリコ・カルーソー
エルネスティーネ・シューマン＝ハインク
ジェラルディン・ファーラー
ミッシャ・エルマン
フリッツ・クライスラー
エフレム・ジンバリスト
ジョヴァンニ・マルティネッリ
イグナツィ・パデレフスキ
セルゲイ・ラフマニノフ
アメリータ・ガリ＝クルチ
レオポルド・ストコフスキー
ヤッシャ・ハイフェッツ
アルフレッド・コルトー
アルトゥーロ・トスカニーニ
ベニャミーノ・ジーリ
フョードル・シャリアピン
ティート・スキーパ
ウィレム・メンゲルベルク
マリア・イェリッツァ
ローザ・ポンセル
パブロ・カザルス
メアリー・ガーデン
セルゲイ・クーセヴィツキー

これらのアーティストたちは、ビクターのレコードを通じて世界中の音楽ファンに感動を与え、音楽史にその名を刻みました。

関連事項

ニッパー (犬)
HMV
EMI
日本ビクター
JVCケンウッド
* ビクターエンタテインメント

ビクタートーキングマシンは、その革新的な製品と優れたアーティストたちによって、音楽産業に多大な影響を与えました。その歴史は、現在もJVCケンウッドやビクターエンタテインメントといった関連企業に受け継がれています。

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