ビデオ信号記録装置

ビデオレコーダーとは

ビデオレコーダーは、映像信号（ビデオ信号）を記録するための装置です。初期には放送局向けの大型装置として登場し、その後、家庭用、業務用と幅広く普及しました。ここでは、ビデオレコーダーの歴史、技術、種類について詳しく解説します。

歴史

ビデオレコーダーの歴史は、1956年にアメリカのアンペックス社が発表した世界初のビデオテープレコーダー（VTR）「VR-1000」から始まりました。

VR-1000
回転4ヘッド方式、2インチ幅テープを使用
放送局用で、超大型ジュークボックスのようなサイズ
当時の価格で3,000万円（現在の約1億8,000万円相当）
白黒映像信号記録に対応

アメリカのテレビ局が導入し、その後、日本のテレビ局も輸入しました。この登場は、日本のメーカー各社に大きな衝撃を与え、VTR研究開発の本格的な開始のきっかけとなりました。

ソニーの挑戦
1958年、アンペックス方式と同じ2インチ幅テープ、4ヘッド方式のVTR試作を開始
国産VTR第1号として試作機を発表
アンペックスの装置よりも巨大

ソニーは、この試作機製作を通してVTR技術を蓄積し、独自のVTR開発へと進んでいきました。

カラーVTRの登場
アンペックスは1960年にカラー映像信号をハイバンドで記録できるVR-2000を発表

アンペックスの特許管理方針が厳しく、放送局向けのVTR開発の参入障壁が高かったため、多くのメーカーは放送局以外の業務用や家庭用VTRの開発に注力するようになりました。

家庭用VTRの登場

1964年、ソニーは世界初の家庭用VTR「CV-2000」を発売しました。

CV-2000
1/2インチ幅テープ、回転2ヘッドヘリカルスキャン方式を採用
オープンリール型白黒VTR
放送局用VTRの100分の1以下という低価格を実現

主に教育機関で業務用として導入されましたが、家庭用VTR開発競争の火付け役となりました。

放送局用、業務用VTR

放送局用VTRは、オープンリール方式の他に、カセット方式ではU規格が採用されました。ソニーは、VTR技術の蓄積を活かし、「BVシリーズ」を販売し、放送局用録画機器で高いシェアを得るようになりました。BVHは1インチVTR、BVUはUマチックVTR、BVPはビデオカメラ、BVMはモニター、BVEはビデオ編集コントローラーと、システム構築が可能でした。

ソニーの主な放送局用VTR
BVH-1000（1976年）
BVH-2000（1982年）
1インチVTR、ヘリカルスキャン方式を採用

記録媒体による分類

ビデオレコーダーは、記録媒体によって様々な種類に分類されます。

磁気テープ
オープンリール方式：2インチVTR、1インチVTR
カセットテープ方式：BETACAM, U規格, ベータマックス, VHS, 8ミリビデオなど
光ディスク
DVDレコーダー
BDレコーダー（Blu-ray Discレコーダー）
ハードディスク
ハードディスクレコーダー（HDDレコーダー）
ハイブリッドビデオレコーダー（DVD/BDレコーダー）
その他
パーソナルコンピューター（ビデオキャプチャ）
フラッシュメモリ、メモリーカード
携帯電話、スマートフォン
クラウド

用途による分類

ビデオレコーダーは用途によっても分類されます。

留守番録画
無人でビデオ放送を受信し、記録する装置。
カムコーダ
内蔵のビデオカメラで撮影された映像を記録する装置。
タイムラプスVTR
監視カメラの映像を、数秒から数分間隔で記録する装置。
ドライブレコーダー
自動車用。
時差記録再生機
番組の放送時間をずらす際に使用する装置。
スキップバックレコーダ
地震などの発生前後の映像を記録する装置。
ビデオサーバ
* 放送局で映像素材を蓄積し、編集・送出に用いる装置。

ビデオレコーダーは、技術の進歩とともに多様化し、私たちの生活に欠かせない存在となりました。今後も新たな技術が登場し、さらに進化していくことが予想されます。

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