ビル・バベシ

ビル・バベシ：シアトル・マリナーズ元GMの功績と評価

ビル・バベシ（William J. Bavasi, 1957年12月27日 - ）は、MLBシアトル・マリナーズの元ゼネラルマネージャーであり、現在はMLBスカウト局長を務めています。ニューヨーク州スカースデール出身。

経歴

ニューヨーク州で生まれ、サンディエゴ大学を卒業後、カリフォルニア・エンゼルスのフロントオフィスでキャリアをスタート。1994年から1999年までエンゼルスのGMを務めました。その後、ロサンゼルス・ドジャースの開発部長に転身。

2003年11月7日、マリナーズのGMに就任。当時のマリナーズは過去4年間で393勝255敗、勝率.606と球団創設以来最高の成績を収めていましたが、2年連続で終盤に失速し、プレーオフ進出を逃していました。しかし、バベシの就任初年度である2004年は63勝99敗、勝率.389と球団ワースト4位の低迷。

2004年オフには、リッチー・セクソンやエイドリアン・ベルトレといった大物選手を総額1億1500万ドルで獲得しましたが、期待に応えられず、チームは2年連続で地区最下位に沈みました。その後も、カール・エバレットやジェフ・ウィーバーなど、結果を伴わない補強を繰り返し、その的外れな補強は「補弱」と揶揄されるほどでした。獲得を見送った選手や他球団に放出した選手が活躍するケースも多く、2007年3月にはフォーブス誌のGMランキングでメジャー最低のGMに選ばれるという不名誉な評価を受けました。

2008年6月16日、成績不振を理由にマリナーズのGMを解任され、後任にはジャック・ズレンシックが就任。同年8月8日には、シンシナティ・レッズのGM特別補佐に就任。2014年にはMLBスカウト局のトップに就任し、現在に至ります。

補強の成功例

バベシのGM時代の補強が全て失敗に終わったわけではありません。以下に成功例として挙げられる補強を2例紹介します。

ラウル・イバニェス：2003年11月19日、カンザスシティ・ロイヤルズからFAとなっていたラウル・イバニェスと3年契約を結びました。イバニェスはその後、契約延長も含めて計5年に渡り安定した成績を残し、バベシGMの数少ない成功例として評価されています。
ホセ・ギーエン：2006年12月4日、ワシントン・ナショナルズからFAとなっていたホセ・ギーエンと1年契約を結びました。ギーエンは2007年に99打点を挙げるなど活躍しましたが、バベシは再契約に動かず、ギーエンはロイヤルズに移籍。バベシは解任後の退任会見で、ギーエンを失ったことがチームの損失であると述べています。

補強の失敗例

バベシのGM時代は、失敗に終わった補強が多く存在します。以下に主な失敗例を挙げます。

スコット・スピージオ：2003年12月17日、アナハイム・エンゼルスからFAとなったスコット・スピージオと3年契約を結びましたが、1年目から期待外れで、2005年8月に解雇。
リッチ・オーリリア：2004年1月8日、サンフランシスコ・ジャイアンツからFAとなったリッチ・オーリリアと契約し、カルロス・ギーエンをデトロイト・タイガースへ放出。オーリリアは期待外れに終わりシーズン中に放出。一方、獲得を見送ったオマー・ビスケルはジャイアンツで活躍、ギーエンはオールスター選手に成長。
フレディ・ガルシアの放出：2004年6月27日、エースのフレディ・ガルシアをシカゴ・ホワイトソックスへ放出し、ミゲル・オリボ、ジェレミー・リード、マイケル・モースを獲得。しかし、獲得した3選手は期待に応えられず、ガルシアはホワイトソックスでワールドシリーズ制覇に貢献。
リッチー・セクソン：2004年12月15日、アリゾナ・ダイヤモンドバックスからFAとなったリッチー・セクソンと4年総額5,000万ドルの大型契約を結びましたが、期待されたほどの活躍はできず、シーズン途中に解雇。
エイドリアン・ベルトレ：2004年12月17日、ロサンゼルス・ドジャースからFAとなっていたエイドリアン・ベルトレと5年総額6,400万ドルの大型契約を結びました。守備面では貢献したものの、打撃面では期待されたほどの成績を残せず。
ユニエスキー・ベタンコート：2005年1月26日、キューバから亡命したユニエスキー・ベタンコートと契約しましたが、守備・打撃ともに伸び悩み、期待外れに終わりました。
ランディ・ウィンの放出：2005年7月31日、ランディ・ウィンをジャイアンツに放出し、ジェシー・フォッパート、ヨービット・トレアルバを獲得しましたが、両選手とも活躍できず、ウィンはジャイアンツでレギュラーとして活躍。
ドラフトでの指名ミス：2005年のMLBドラフトでは、トロイ・トゥロウィツキーの指名が見込まれていましたが、ジェフ・クレメントを指名。クレメントはメジャーに定着できず、トゥロウィツキーは球界を代表する遊撃手に成長。
カール・エバレット：2005年12月14日、カール・エバレットと1年契約を結びましたが、監督との対立により解雇。
ジョー・ボーチャード：2006年3月20日、マット・ソーントンを放出し、ジョー・ボーチャードを獲得しましたが、わずか6試合の出場で放出。ソーントンはリリーフ投手として活躍。
ブランドン・モロー：2006年のMLBドラフトでは、ティム・リンスカムを回避し、ブランドン・モローを指名。モローはリリーフとして貢献したものの、リンスカムはサイ・ヤング賞を2度受賞するエースに成長。
アズドルバル・カブレラ：2006年6月30日、アズドルバル・カブレラを放出しエドゥアルド・ペレスを獲得。ペレスは打率1割台に終わり引退、カブレラは正二塁手になった。
秋信守：2006年7月27日に秋信守を放出しベン・ブルサードを獲得。ブルザードは目立った活躍ができず引退、秋は正外野手として定着。
ラファエル・ソリアーノ：2006年12月7日、ラファエル・ソリアーノを放出しホラシオ・ラミレスを獲得。ラミレスは防御率7.16と散々な成績で放出、ソリアーノはクローザーとして活躍。
クリス・リーツマ：2007年1月5日、FAのクリス・リーツマと契約。故障でシーズンの半分を離脱し、失踪。
ジェフ・ウィーバー：2007年1月29日、ジェフ・ウィーバーを獲得したが、不振で故障者リスト入り。
カルロス・シルバ：2007年12月20日、カルロス・シルバを獲得したが、チームを非難して出場停止処分を受けるなど低迷。
エリック・ベダード：2008年2月8日、アダム・ジョーンズら有望株5選手を放出し、エリック・ベダードを獲得。しかし、ベダードは故障で期待を裏切り、バベシ解任の引き金に。
* 城島健司：2008年4月26日、城島健司と大型契約を結びましたが、打撃不振でレギュラーを剥奪され、契約を破棄して帰国。

総括

ビル・バベシは、マリナーズのGMとして数々の補強を行ったものの、成功例は少なく、失敗例が多いという評価が一般的です。その的外れな補強は「補弱」と揶揄され、GMランキングでメジャー最低の評価を受けるなど、厳しい批判に晒されました。しかし、GM退任後はMLBスカウト局長として手腕を発揮しており、その評価は一概には決めつけられません。

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