ピーシーデポコーポレーション

株式会社ピーシーデポコーポレーション（PC DEPOT）

株式会社ピーシーデポコーポレーション（英: PC DEPOT Corporation、PCD）は、関東圏を中心に全国展開している、パーソナルコンピュータなどを主に取り扱う家電量販店・パソコンショップ「PC DEPOT」を運営する企業です。

概要

神奈川県に本社を置き、同県および東京都を中心に全国に店舗を展開しています。近年ではスクラップアンドビルドを繰り返しながらも、直営店は関東甲信越地方へのドミナント戦略を徹底しており、他地域へはフランチャイズによる出店を行っています。家電量販店やネット通販との競合を避けるため、高齢者や女性をターゲットに店舗の改装を進めているのが特徴です。

かつては同業中堅のオーエー・システム・プラザと資本関係があり、PC DEPOT傘下にありましたが、2008年までに全株式を売却し、2012年にはフランチャイジー契約も終了しました。一部店舗は直営化しましたが、直接引き継がれず近隣に新たな直営店舗を開店するケースもありました。

現在は、子会社のピーシーデポストアーズ（旧・ピーシーデポ九州）が地方部の店舗を運営するほか、写真用品店チェーンのキタムラや、三菱電機系のエンジニアリングサービス会社である西菱電機とフランチャイジー契約を結んでいます。

また、パソコン修理事業「パソコンクリニック」をPC DEPOT店舗のほか、一部のケーズデンキ店内でも展開しています。子会社のイージェーワークスを通じて、独立系インターネットサービスプロバイダの老舗「リムネット」の営業権を継承している点も特徴です。

代表取締役社長の野島隆久氏は、ノジマの代表執行役兼社長である野島廣司氏の実弟ですが、ノジマとPC DEPOTの間には法人としての提携関係はありません。ただし、隆久氏とその親族の資産管理会社であるティーエヌホールディングス株式会社は、ノジマの第3位の大株主となっています。

沿革

1994年8月11日 - 野島隆久氏が株式会社ピーシーマーチャンダイズを設立し、コンピュータ販売における調査・コンサルタント業務を開始。
1994年12月 - 新横浜店開店。
1995年 - POSシステム（販売時点情報管理）の本格駆動を開始。株式会社ピーシーリテールと業務提携を締結。
1999年4月 - 株式会社ピーシーデポコーポレーションに社名を変更。
1999年10月 - 株式会社ケーズデンキ（現・ケーズホールディングス）とPC DEPOTフランチャイズ契約を締結。日本証券業協会に株式店頭登録（後のジャスダック証券取引所）。
2000年4月 - イージェーワークス・ドットコム株式会社（現在の株式会社イージェーワークス）を設立。
2001年 - 株式会社インターネット・サービスパートナーズを設立。
2002年7月 - 株式会社ピーシーリテールの全株式を取得し、100%子会社化。
2003年4月 - 株式会社ピーシーリテールを吸収合併。
2004年4月 - PC DEPOTのオリジナルブランド「O'zzio」のパソコンを販売開始。
2008年10月 - 本社を神奈川県横浜市港北区新横浜のアリーナタワーへ移転。
2009年7月1日 - 株式会社ピーシーデポマックス（ミスターマックスのフランチャイジー）の全株式を取得し100%子会社化、社名を株式会社ピーシーデポ九州に変更、本社をピーシーデポ本社所在地へ移転。
2012年4月1日 - 株式会社ピーシーデポ九州の社名を株式会社ピーシーデポストアーズに変更。
2015年11月5日 - ジャスダックから東京証券取引所市場第一部に市場変更。
2022年2月1日 - 本社を横浜市港北区新横浜のアリーナタワーから同市西区高島の横濱ゲートタワーに移転。
2023年7月18日 - 筆頭株主であったティーエヌホールディングス株式会社の子会社であるTNI株式会社が、株式公開買付けにより議決権所有割合ベースで56.40%の株式を取得。野島隆久氏の間接保有分を含む議決権所有割合が91.77%となる。
2023年10月27日 - 東京証券取引所プライム市場上場廃止。
2023年10月31日 - 株式併合により、株主がTNI株式会社、ティーエヌホールディングス株式会社、野島隆久氏のみとなる。

高額サポート契約への批判

2016年8月、あるTwitterユーザーが「80過ぎの独居老人である父が、PCデポに毎月1万5千円の高額サポート契約を結ばされていた」とツイートしたことをきっかけに、インターネット上で批判が広がりました。この問題では、高齢の顧客に対して、PC購入時に不要なオプションサービスや高額な月額会員制保守サービスを契約させ、解約時に高額な解除料を請求する事例が明らかになりました。

具体的には、ノートPC購入時に、サポート契約に加え、iPad Airのリースや光回線契約など、不要なオプションを複数契約させ、月々14,254円の支払いを請求。中途解約を申し出たところ、約20万円の解約金と端末代金の残金を請求された事例がありました。最終的には交渉により10万円の支払いで済んだものの、この一件は高齢者に対する不当な契約行為として大きな批判を浴びました。

この批判を受け、同社は70歳以上の新規「プレミアムサービス」加入には家族等の確認を得ること、75歳以上の加入者には無償でコース変更・解約を行うことを発表しました。ITジャーナリストの本田雅一氏は、この問題が情報機器販売業界全体に根付いた悪しき商慣行であると指摘しました。

この事件を受け、株価も一時的に大きく下落。その後、同社は「消費者目線にたった事業活動を推進」するため、元消費者庁長官を含むアドバイザリーボードを設置し、サービス契約内容の分かりやすさの徹底などの改善策を講じました。

脚注

公式ウェブサイト

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