ファビュラス・カンガルーズ

ザ・ファビュラス・カンガルーズ

ザ・ファビュラス・カンガルーズは、プロレス史に名を刻むタッグチームです。ブッシュハットを被り、ブーメランを手に持ったオーストラリア出身のヒールとして、NWAやWWWFなど北米の主要テリトリーで活躍しました。

本項では、初代のアル・コステロ&ロイ・ヘファーナン、そして便宜上2代目とされるコステロ&ドン・ケントのコンビを中心に記述します。1974年2月に新日本プロレス、1976年1月に全日本プロレスに来日したザ・ロイヤル・カンガルーズ（ロード・ジョナサン・ボイド&ノーマン・フレデリック・チャールズ3世）は、コピー版の別チームです。

来歴

初代カンガルーズ

ロイ・ヘファーナンとアル・コステロは、1957年にカナダのカルガリー地区でチームを結成。その後、トロント地区を経て、1958年よりWWWFの前身団体であるキャピトル・レスリング・コーポレーションに進出。ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンを舞台に、アントニオ・ロッカ&ミゲル・ペレスと激しい抗争を展開しました。

1958年下期からは南西部のテキサス地区に参戦。11月にはフォートワースでNWA世界タッグ王座を獲得し、チームとして初の戴冠を果たしました。1959年1月にはNWAロッキー・マウンテン・タッグ王座を奪取。同年3月にはテキサス西部版インターナショナル・タッグ王座の初代王者チームに認定されました。このタイトルは、後年に日本に定着したインターナショナル・タッグ王座のルーツともされています。

1960年からはニューヨーク地区に戻り、USタッグ王座を再三獲得。ロッカ&アルゼンチン・アポロ、バディ・ロジャース&ボブ・オートン、ブルーノ・サンマルチノ&ヘイスタック・カルホーンなどのチームを相手に長期政権を築きました。同地区では、アメリカ武者修業中だったジャイアント馬場&マンモス鈴木の巨人コンビとも度々対戦しています。1963年に発足したWWWFにも出場を続け、サンマルチノ、ボボ・ブラジル、エドワード・カーペンティアらと対戦しました。

他地区でも、NWA世界タッグ王座（フロリダ版）を獲得。太平洋岸ではWWA世界タッグ王座を奪取。カナダのバンクーバーではNWAカナディアン・タッグ王座を再三獲得するなど、各地のタッグ戦線を席巻しました。

しかし、1965年6月にインターナショナル・タッグ王座から陥落した後、同年7月にヘファーナンがオーストラリアに帰国し、ファビュラス・カンガルーズは一旦解散となりました。

2代目カンガルーズ

ヘファーナンの帰豪後、コステロはレイ・セント・クレアーをパートナーに再びファビュラス・カンガルーズとして活動。その後、ドン・ケントを新パートナーに迎え、ファビュラス・カンガルーズを再結成しました。

トロントではTWWA世界タッグ王者に認定され、国際プロレスの『TWWAワールド・タッグ・シリーズ』に初来日。豊登&杉山に敗れて王座を明け渡しました。その後は中西部および北東部を主戦場に、WWA世界タッグ王座を2回獲得。マディソン・スクエア・ガーデンにも時折ゲスト出場しました。

1972年には日本プロレスの『インターナショナル選手権シリーズ』に来日。アジアタッグ王座に挑戦しました。1973年はテネシーのミッドアメリカ地区で活動し、NWA世界タッグ王座（ミッドアメリカ版）を通算3回獲得。1974年にコンビを解消して個別に活動した後、1977年にプエルトリコのWWCでチームを一時的に再結成しました。

新生カンガルーズ

1981年、プエルトリコにてケントがブルーノ・ベッカーをパートナーに新バージョンのファビュラス・カンガルーズを結成。マネージャーはコステロが務めました。ベッカーの脱退後は、ジョニー・ヘファーナンが新たに加入。WWC世界タッグ王座などを奪取しました。

その後はフロリダ地区に参戦し、NWAグローバル・タッグ王座を獲得。以降、コステロがマネージメント権を譲渡したという設定のもと引退。ほどなくして新生カンガルーズも解散し、ケントはシングルプレイヤーに戻り、コステロはマネージャーに転身しました。

リメイクと再評価

1993年、デトロイトのインディー団体にてファビュラス・カンガルーズがリメイクされ、コステロがマネージャーに迎えられました。後にアル・スノーがメンバーに加わり、カンナム・タッグ王座を獲得しています。

コステロとヘファーナンのオリジナル版こそがカンガルーズの絶頂期とされており、2013年にはコステロとヘファーナンが揃ってNWA殿堂に迎えられました。

ワルチング・マチルダを入場曲にリングインし、紙製のブーメランを観客席に投げるというパフォーマンスを行っていました。

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