ヘイスタック・カルホーン

ヘイスタック・カルホーン(本名：ウィリアム・ディー・カルホーン、1934年8月3日 - 1989年12月7日)は、アメリカ合衆国テキサス州出身のプロレスラーとして、1960～70年代に世界中で活躍しました。リングネームの由来は、彼の圧倒的な巨体からきています。

農場での仕事からプロレス入りしたカルホーンは、オーバーオールに蹄鉄という独特の風貌で、巨漢ベビーフェイスとして人気を集めました。1956年にはルー・テーズのNWA世界ヘビー級王座に挑戦するなど、早くから注目を浴びていました。300kgを超えるハッピー・ハンフリーとの巨漢対決で勝利を収めた試合は、彼のキャリアを象徴する出来事の一つとなりました。

1963年には初来日を果たし、羽田空港からホテルまでトラックの荷台で運ばれるという演出で話題を呼びました。力道山とのタイトルマッチや、アントニオ猪木、大木金太郎らとの変則試合など、数々の伝説的な試合を繰り広げました。カルホーンの巨体は日本の観客にも大きなインパクトを与え、「人間空母」「お化けカボチャ」といったニックネームで親しまれました。

日本での活躍後、カルホーンはカナダでNWAカナディアン・タッグ王座を2度獲得するなど、活躍の場を広げました。アメリカでは、ミッドサウスのトライステート地区でNWA USタッグ王座を獲得するなど、数々のタイトルを獲得し、アメリカ、カナダ、そして日本と、世界各地でその名を轟かせました。

1970年代に入ると、ニューヨークのWWWFを主戦場とし、1973年にはトニー・ガレアとタッグを組み、WWWF世界タッグ王座を獲得しました。ゴリラ・モンスーン、チーフ・ジェイ・ストロンボー、イワン・プトスキーらとミッドカードを盛り上げ、ブルーノ・サンマルチノやペドロ・モラレスともタッグを組むなど、WWWFの中心選手として活躍しました。スーパースター・ビリー・グラハムのWWWFヘビー級王座に挑戦した試合も記憶に残る出来事です。

1978年には10年ぶりに来日し、新[[日本プロレス]]の『サマー・ファイト・シリーズ』に参加。アントニオ猪木とのシングルマッチや、北米タッグ王座挑戦など、日本のファンを再び熱狂させました。この来日時には、アメリカではベビーフェイスだったカルホーンが、フレッド・ブラッシーをマネージャーに迎え、ヒールとして試合を行うという異色の展開も見られました。国際プロレスにも参戦するなど、日本のプロレス界に多大な影響を与えました。

1980年代初頭に健康上の理由で引退。晩年は糖尿病により左足を失うなど、苦しい生活を送りました。1989年に55歳で亡くなりました。しかし、彼のプロレス界への貢献は大きく、2017年にはWWE殿堂のレガシー部門に迎えられ、その功績が称えられました。

カルホーンは、その巨体と豪快なファイトスタイル、そして驚異的な食欲で知られていました。彼の食事量は伝説となっており、朝食にバケツ一杯のジャガイモを食べるという逸話は有名です。東京スポーツ新聞社の記者がレストランに誘った際には、800グラムのステーキを3枚平らげたというエピソードも残っています。また、映画「Requiem for a Heavyweight」にも本人役で出演しています。

ヘイスタック・カルホーンは、巨漢レスラーとして人気を博しただけでなく、数々のタイトルを獲得し、世界中のプロレスファンに愛されたレジェンドレスラーでした。その名前は、これからもプロレス史に刻まれ続けることでしょう。

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