フェアウェイ (競走馬)

フェアウェイ：英国競馬史に輝く名馬

フェアウェイ (Fairway, 1925-1948) は、1920年代後半にイギリスで活躍した競走馬であり、後に成功を収めた種牡馬としても知られています。日本への輸入はありませんでしたが、その名は英国競馬史に深く刻まれています。本稿では、フェアウェイの競走馬時代から種牡馬時代、そしてその特徴や逸話まで、詳細にわたって解説します。

競走馬時代：ダービー敗戦からの復活劇

1927年5月、フランク・バタース調教師の下で競走馬デビューを果たしたフェアウェイ。デビュー戦こそ6着に終わりましたが、その後7月までに3連勝を収めます。しかし、ダービー伯爵の側近であるジョージ・ラムトンの判断により、シーズンは早期終了。それでも、同年の2歳フリーハンデでは高い評価を得ました。

翌1928年、当初は2000ギニーへの出走が予定されていましたが、直前で口腔内に膿種が見つかり、ダービーステークスへの目標変更を余儀なくされます。5月の前哨戦であるニューマーケットステークスを制し、ダービーでは本命候補として臨みました。しかし、レース当日の興奮した観客に囲まれ、スタートの遅延なども重なり、出遅れから7着という結果に終わります。この敗戦は、フェアウェイの精神面に大きな影響を与えました。

ダービーの敗戦から立ち直るため、バタース調教師はフェアウェイのケアに尽力しました。その後、エクリプスステークスでは圧倒的な強さで優勝。続くセントレジャーステークスでも勝利し、クラシック競走制覇を果たします。さらにチャンピオンステークスでも優勝し、1928年シーズンを5戦4勝で締めくくりました。

4歳となった1929年には、バーウェルステークス、ルース記念ステークス、プリンセスオブウェールズステークスと3連勝。エクリプスステークスでは惜しくも2着となりましたが、秋にはチャンピオンステークス連覇を達成。さらにジョッキークラブカップも制し、その実力を改めて示しました。ジョッキークラブカップ優勝後に行われたボスワースとの4000mの試走では勝利し、長距離適性も確認されましたが、その後屈腱炎を発症し、競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。

種牡馬時代：リーディングサイアーへの道

1931年から種牡馬として活躍を開始したフェアウェイ。ウッドランド牧場で供用され、高い種付料にもかかわらず、多くの繁殖牝馬が集まりました。ダービー伯爵からの期待も大きく、その期待に応えるかのように、1936年にはイギリスのリーディングサイアーに輝きます。その後もリーディングサイアーの座を何度も獲得し、大きな成功を収めました。

フェアウェイ産駒は、2000ギニーや1000ギニーといった短距離レースで活躍した馬が多く、一方で長距離レースで活躍した馬は少なかったことが特徴です。その血統は、スピードを伝えるものとして評価されました。代表産駒には二冠馬ブルーピーターやフェアトライアルなどがいます。また、その産駒は世界中で種牡馬として成功し、日本に輸入されたハロウェーは、数々の名馬を輩出しました。

1946年には腰の麻痺により種付けを中止、1948年11月末に安楽死となりました。

フェアウェイの特徴と逸話

フェアウェイの名前は、その血統背景に由来しています。2代母アンコラが「錨」を意味することから、その系統馬には海にまつわる名前が付けられており、フェアウェイは「航路」を意味します。兄弟には1000ギニー優勝馬フェアアイル（全妹）や、灯台を意味するファロス（全兄）がいます。産駒にもタイドウェイ、フルセイル、ブルーピーターなど、海に関連する名前が付けられています。

馬体や走法は、父ファラリスとは異なり、祖父ポリメラスに似ていました。非常に胴長で神経質な馬体で、その疾走はグレイハウンドにたとえられるほどでした。長いストライドが持ち味でしたが、同時にバランスを崩しやすい欠点も持っていました。ダービー敗戦も、バランスを崩したことが原因の一つとされています。

ダービー敗戦の原因については、様々な憶測が飛び交いましたが、出走時の発汗の有無が人気に影響を与えていました。フェアウェイ自身は、汗かきではありませんでしたが、産駒には多汗な馬が多かったものの、特に問題とはなりませんでした。

フェアウェイの種牡馬としての受胎率は非常に高く、16年間の種牡馬生活において70％を下回ったことはありませんでした。これは、ウッドランド牧場での優れた管理によるものとされています。また、フェアウェイの性器が大きかったことから、心配する声もありました。

まとめ

フェアウェイは、競走馬としても種牡馬としても、英国競馬史に大きな足跡を残した名馬です。ダービーでの敗戦という苦い経験を乗り越え、クラシック競走で勝利を収め、数々の名馬を輩出した種牡馬としての成功は、その類まれな能力と強靭な精神力を物語っています。その個性的な馬体や血統、そして数々の逸話は、今日も人々の記憶に刻まれています。

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