フェアリー アルバコア

フェアリー アルバコア (Fairey Albacore)

フェアリー アルバコアは、1939年から1943年にかけてイギリスのフェアリー・アビエーションによって製造され、イギリス海軍艦隊航空隊（FAA）で使用された複葉艦上雷撃機です。アルバコアの名称は英語でビンナガを意味し、別名でアップルコアとも呼ばれています。

概要

この航空機は、3名の乗員を搭載し、爆弾や魚雷の運用に加え、偵察任務にも対応できるよう設計されています。当初は旧型のフェアリー ソードフィッシュの後継機として1936年から開発が始まりました。しかし、1940年から部隊での使用が始まると、アルバコアはソードフィッシュほどの人気は得られず、後にフェアリー バラクーダにその座を譲りました。

開発背景

FAAからの要求に基づいて、航空省は仕様S.41/36を発行し、フェアリー・アビエーションはこの仕様に沿った試作機を製造しました。1938年12月には初めての飛行を成功させ、1939年からは量産型の製造が始まりました。初期にはブリストル社製のトーラス IIエンジンを搭載しましたが、出力不足が問題視されたため、後の量産機では出力を向上させたトーラス XIIエンジンに変更されました。

アルバコアは特筆すべき特徴として、複葉機でありながら密閉された風防を持ち、強化された不時着装備を備えています。また、雷撃機としては初めて可変ピッチプロペラを採用し、油圧式フラップを利用したダイブブレーキシステムを実装するなど、ソードフィッシュに比べて技術的に近代化された機体です。

運用実績

1940年には第826FAA飛行隊がアルバコアを運用し、フランス北部沿岸のドイツ艦船攻撃に従事しました。その後、この機体は主に船団の哨戒任務を行い、1941年には空母航空隊としての活動を開始しました。また、同年12月にはイギリス空軍第36飛行隊に引き渡され、シンガポールで使用されました。

1941年9月には地中海に展開し、15個のFAA飛行隊が設立されました。この飛行隊はマタパン岬沖海戦やエル・アラメインおよびサレルノ上陸作戦の支援を行いました。特に、第828FAA飛行隊はマルタ島を拠点に活躍し、イタリア艦船や基地への攻撃を行いました。ここでの運用は1941年9月から1943年6月まで続きました。

ただ、アルバコアは近代的な複葉機であるものの、性能面ではソードフィッシュと大きな違いはなく、パイロットの中にはソードフィッシュを好む者も多く、「ストリングバッグ」との愛称で親しまれたソードフィッシュを懐かしむ替え歌も存在しました。

1943年にはフェアリー バラクーダに置き換えられ、最後のアルバコアを搭載した第841飛行隊は、その年の後半に解散しました。なお、カナダ空軍（RCAF）もアルバコアを購入し、ノルマンディー上陸作戦での運用を行いました。

仕様

• - 乗員: 3名
• - 全長: 12.14m
• - 全高: 4.62m
• - 翼幅: 15.24m
• - 空虚重量: 3,295kg
• - 運用時重量: 4,755kg
• - 動力: ブリストル トーラス XIIエンジン (1,130hp)
• - 最大速度: 259km/h
• - 航続距離: 1,497km
• - 実用上昇限度: 6,310m
• - 武装: 固定武装として7.7mm機関銃を1門と背部に2門のヴィッカーズK機関銃を装備。搭載可能兵器として760kgの魚雷または900kgの爆弾を持つことができました。

アルバコアはその実用性と多機能性から、運用中の様々な局面で貢献した航空機でした。

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