フェアリー ソードフィッシュ

フェアリー ソードフィッシュ（Fairey Swordfish）

イギリスの航空機メーカーであるフェアリー社が開発したフェアリー ソードフィッシュは、イギリス海軍航空隊で用いられた三座複葉の雷撃機です。その基本性能は現代の標準から見ると低いものの、信頼性や操縦性、さらに汎用性に優れた点から、複葉機時代の最後の傑作とされています。本機は全金属製ではなく、非全金属製の軍用機の代表的な存在でもあります。

開発の経緯

フェアリー社は1930年、ギリシャ海軍のために試作機PVを開発し、その後イギリス国防省がアームストロング・シドレー パンサーエンジンからブリストル ペガサスエンジンに換装して、TSR Mk Iと名付けられました。これが1933年に初飛行しましたが、後に事故で失われました。そのため新たな仕様書が策定され、複座の雷撃機及び三座の偵察機が求められました。フェアリー社はTSR.Iを改良し、1934年4月に初飛行した機体がソードフィッシュと名付けられました。

1935年にはイギリス海軍に採用され、1936年には空母「グローリアス」に配備されました。1939年にはイギリス空軍でも試験運用され、シンガポールにも派遣されました。後継機として開発されたアルバコアは、信頼性や性能においてソードフィッシュに及ばず、そのため生産は続行されました。1940年代初頭に生産はフェアリー社からブラックバーン社に移行し、その後対潜レーダーも装備されました。

戦歴

ソードフィッシュは、1939年以降に正規空母で本格的に運用され、1940年のタラント空襲ではイタリア海軍に重大な損害を与えました。また、1941年には「ビスマルク」追撃戦において、ソードフィッシュが雷撃を行い、その操舵装置に損傷を与えるなど、連合国の勝利に寄与しました。ソードフィッシュはまた、対空砲火を受けにくい優れた機体構造を持ち、幾度もの攻撃を受けながらも無事に帰還するパイロットもいました。

ただし、1942年のツェルベルス作戦では、出撃したソードフィッシュが全滅する事態もあり、その後は護衛空母でのUボート狩りに主に使用されました。太平洋戦争でも序盤に運用されましたが、日本の戦闘機に対して非常に劣位を強いられました。

評価と実績

ソードフィッシュはパイロットの間で「ストリングバッグ」というあだ名で知られています。このニックネームは高い汎用性から、何にでも使える袋に例えられたものです。複葉機時代の最後を象徴する存在でありながら、欧州の航空戦において一定の活躍を見せました。特に、艦載機の空母運用においては利便性と離着艦性能を発揮し、新兵器も順次導入されました。

また、ソードフィッシュは非常に高い運動性を持ち、旋回性能に優れています。この特性により、急降下爆撃が可能であり、大西洋の困難な気象条件でも頻繁に運用されました。新米パイロットでも容易に操縦できるため、幅広い操縦経験を持つパイロットに人気がありました。

派生型と性能

ソードフィッシュにはいくつかの派生型があり、原型機TSR.1や改良型TSR.2、量産型Mk.I、金属防護板のMk.II、レーダー搭載のMk.IIIなどが開発されました。特にMk.IIではロケット弾の搭載が可能で、1943年に製造が開始されました。

仕様 (Mk II)

• - 乗員: 3名
• - 全長: 11.22 m
• - 全高: 3.8 m
• - 翼幅: 13.9 m
• - 空虚重量: 2,130 kg
• - 最大離陸重量: 3,406 kg
• - 動力: ブリストル ペガサス エンジン 560 kW (750 hp) × 1
• - 最大速度: 222 km/h
• - 武装: 7.7 mm 機関銃 2門、680 kg搭載量

様々な戦争映画やゲームにも登場し、その名を広めたソードフィッシュは、イギリス海軍における重要な雷撃機として多くの功績を残しました。

もう一度検索