フュルスト・ビスマルク (装甲巡洋艦)

フュルスト・ビスマルクの概要

フュルスト・ビスマルク（Panzerkreuzer SMS Fürst Bismarck）は、ドイツ海軍が初めて建造した装甲巡洋艦であり、特に防御力を重視した設計が特徴です。1893年から1895年にかけての計画で1隻が建造され、当時は一等巡洋艦として計画されていましたが、後に大型巡洋艦に分類されました。彼女は前弩級戦艦に匹敵する約1万トンの常備排水量を持ち、大型かつ強力な艦艇として設計されていました。

船体形状と備砲

フュルスト・ビスマルクの船体形状は平甲板型であり、艦首はクリッパー・バウ型とされ、これにより外洋航行に適した特性を示しています。また、艦首には24cm連装砲塔が配置され、艦中央部には2本の煙突を擁し、その周囲には艦載艇の置き場が設けられています。さらに、艦首甲板には操縦艦橋が、及び2段の見張り所を持つミリタリー・マストがそびえ立っています。

この艦は、主砲にクルップ社製の「1898年型 24cm（40口径）速射砲」を搭載していました。これにより、140kgの砲弾を最大で16,900mの距離まで届ける能力を有し、鉄板に対しては30cm、ハーヴェイ鋼に対しては18cmの貫通力を持つ優れた火力を誇ります。主砲の旋回や俯仰の機構は主に水圧が操作しますが、一部には人力も必要とされます。

副砲としては「C/86 15cm（40口径）速射砲」が搭載されていました。これもまた優れた性能を持ち、最大仰角20度であれば14,000m以上の射程を誇ります。船体にはその他、対水雷艇用の8.8cm速射砲や、対艦攻撃用の水中魚雷発射管も装備されていました。

防御性能

フュルスト・ビスマルクは、その防御能力も注目される点です。舷側装甲は端部でも100mm、中央部では200mmと、厚い装甲壁を構成しており、「アミラル・シャルネ級」の火力にも耐えられる設計がされています。また、細分化水密区画の設計を採用し、水線下を12の区画に区切ることで防御力を高めています。

艦歴と運用

この艦は、1900年の義和団の乱の際に完成を急がれ、その後ドイツ東洋艦隊に配属され10年間の任務に就きます。そこでは植民地における警護任務にあたり、ドイツ海軍の艦艇設計において重要なデータを提供しました。その後本国に帰還し、少しの改装を経て機関学校の練習艦としての役割を続けます。第一次世界大戦の勃発により一時軍艦として復帰しましたが、老朽化が進んでいたため、1915年には再び練習艦に戻され、最終的には1920年に解体処分されました。

フュルスト・ビスマルクは、彼女の運用期間中にドイツ海軍に多大な影響を与え、後の艦艇設計に多くの寄与をした艦艇として記憶されています。

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