ブッフェル装甲兵員輸送車とは？意味をやさしく解説

ブッフェル装甲兵員輸送車

ブッフェル装甲兵員輸送車は、南アフリカ共和国がウニモグをベースに開発した装甲兵員輸送車です。アパルトヘイト時代の南アフリカ国境戦争において、対戦車地雷による攻撃から兵員を守るために開発されました。「ブッフェル」とはアフリカーンス語で「バッファロー」を意味します。

開発の背景

1966年以降、南アフリカ国防軍は、ナミビアの独立を求める南西アフリカ人民機構（SWAPO）との戦闘状態にありました。さらに1975年にアンゴラが独立すると、ナミビアを経由してアンゴラ内戦中のアンゴラ全面独立民族同盟（UNITA）を支援し、陸・空軍を侵攻させるなど、直接・間接的な軍事介入を行っていました（南アフリカ国境戦争）。

アンゴラ政府軍やキューバ軍は、南アフリカの侵攻に対し、対戦車地雷による待ち伏せ攻撃を多用しました。これにより、車両と兵員の損失が深刻化したため、地雷対策を施した装甲兵員輸送車の開発が急務となりました。

特徴

ブッフェルは、地雷の爆発から乗員を守るために、以下のような特徴的な設計が採用されています。

V字型の底部: 兵員輸送区画の底部はV字型になっており、地雷の爆風を左右に逃がすことで、乗員への被害を軽減します。
独立した操縦席: 操縦席は左側に偏っており、兵員区画から独立しています。これにより、操縦手が地雷の爆発に巻き込まれるリスクを低減します。
オープンヘッド: 兵員区画は屋根のないオープンヘッドとなっており、兵員はそこから身を乗り出して射撃を行うことができます。ただし、側面部や背面部に乗降用のドアがなく、壁面をはしごで上り下りする必要があるため、迅速な乗降には難があります。
注水式タイヤ: 地雷の爆発エネルギーを逃がすため、車輪に注水することがあります。ただし、この場合、1輪あたり500kgの重量増となります。

運用と課題

ブッフェルは、乗り心地があまり良くなく、長時間の兵員搭乗には難点がありました。そのため、南アフリカ国防軍では、より洗練された設計のマンバ装甲兵員輸送車やキャスパー装甲兵員輸送車などに更新されました。退役したブッフェルは、ナミビア、ウガンダ、スリランカなどに売却され、スリランカ内戦などでも活躍しました。

派生型

ブッフェルには、以下のような派生型が存在します。

ブッフェル: オリジナル初期型。
ブッフェル Mk.1: エンジンとバンパーを改良。
ブッフェル Mk.2 A/B: 兵員区画に屋根と後部乗降ドアを設け、側面と後部に防弾ガラスをはめ込んだ大型の窓を設置。Mk.1を改造して製造。
ログ・ブッフェル（Log Buffel）: 補給用の物資運搬車両。
モッフェル（Moffel）: 大型の荷物を積載可能なように、オープン式の荷台を搭載した型。
ブルドッグ: SAMIL 20軍用トラックをベースに製造された型で、右側に操縦席がある。
ライノ: ブルドッグの改良型で、操縦席が兵員区画と一体化されている。
ユニコーン: スリランカで製造されている、ブッフェルの初期型仕様。
ユニブッフェル: スリランカで製造されているブッフェルMk.1で、タタ・モーターズ製のエンジンを搭載。

採用国

南アフリカ共和国
ナミビア
スリランカ
ウガンダ

ブッフェル装甲兵員輸送車