ブラウニー

ブラウニーとは

ブラウニーは、スコットランドや北部イングランドの民間伝承に登場する、家に住み着く精霊の一種です。ゴブリンの一種とされることもありますが、悪意はほとんどなく、むしろ善意をもって人々に尽くす家神として知られています。

この妖精は、英語では「brownie」と綴られ、日本語ではその音写形である「ブラウニー」という名前で呼ばれています。スコットランドでは「broonie」や「urisk」とも呼ばれ、地域によって様々な名前で親しまれています。

容姿と特徴

ブラウニーの姿で最もよく伝えられているのは、身長が1メートル弱で、茶色いボロを身につけ、髪や髭は伸び放題というものです。その茶色い姿から「ブラウニー（茶色い奴）」と呼ばれるようになりました。

ブラウニーは、主に人がいない間に家事をしたり、家畜の世話をしたりと、人間の手助けをすると言われています。そのお礼として、人々は食べ物をこっそりと部屋の隅に置いておきます。これは、ブラウニーへの感謝の気持ちを示す民間信仰的な習慣です。

一方で、ブラウニーは天邪鬼な気質も持っており、きれいに整理整頓された家をわざと散らかすなど、いたずら好きな一面も持ち合わせています。

ブラウニーへの接し方

ブラウニーへの感謝の気持ちを表す際には、決してあからさまに物を与えてはいけません。あくまでも、部屋の隅に隠すように食べ物を置いて、ブラウニーが自ら見つけるようにしなければなりません。もし、直接的に物を与えてしまうと、ブラウニーは怒って家から出て行ってしまうと言われています。

また、ブラウニーが家で働く目的は衣類を手に入れることにあるとされています。そのため、もし衣類をあげてしまうと、働かなくなって家を去ってしまうと考えられています。

サンタクロースとの関係

年月が経つにつれて、ブラウニーはクリスマスのサンタクロース伝説と結びつき、サンタクロースの弟子がブラウニーであるという伝承も生まれました。さらに、年長のブラウニーがサンタクロースになるとも言われています。

ビリー・ブラインド

ビリー・ブラインドは、ブラウニーとよく似た存在で、ブラウニーの亜種とも呼ばれる小妖精です。チャイルドバラッドという伝統的なバラッドの一つである『ヤング・ビーハン』に主要キャラクターとして登場します。

取り替え子

ヨーロッパには、妖精が人間の赤ちゃんを別の妖精の赤ちゃんと取り替えてしまうという伝承があります。この取り替えられた妖精の赤ちゃんを「取り替え子」と呼びます。ブラウニーも妖精の一種として、この伝承に関わっていると考えられています。

取り替えられた人間の赤ちゃんは妖精の国で永遠に幸せに暮らすことができる一方で、取り替え子の妖精の赤ちゃんは病弱で、すぐに死んでしまうと言われています。この伝承は、新生児の生存率が低かった時代に、子供を失った親が心の救いを求めるために生まれたと考えられています。

関連作品

ブラウニーは、多くの作品に登場しています。その姿は、アーサー・ラッカムなどの挿絵画家によって描かれており、また、様々なクリエイターによって、それぞれの世界観に合わせて改変されたブラウニーが描かれています。

ザ・ブラウニーズ シリーズ

パーマー・コックスが描いたカートゥーンのブラウニーを主人公とする漫画シリーズです。このシリーズは、コミック・ストリップの特徴も持っており、1887年に初めて出版されました。

ブローニー

コダックが製造販売していたカメラのブランドである「ブローニー」は、妖精のブラウニーにちなんで名付けられました。コックスの描くブラウニーのキャラクターが、このカメラのコマーシャルモデルとして採用されていました。

脚注

注釈

出典

参考文献

草野巧『幻想動物事典』シブヤユウジ（画）、新紀元社、1997年5月3日。ISBN 4-88317-283-X、ISBN 978-4-88317-283-2、OCLC 675909434。

関連項目

ブローニー - ブランド名。
家神
伝説の生物一覧
ボガート
ボダッハ
フェノディリー
未確認動物学
* 座敷童

もう一度検索