ブルックリン級軽巡洋艦

ブルックリン級軽巡洋艦：アメリカ海軍の条約型軽巡洋艦

ブルックリン級軽巡洋艦は、アメリカ海軍が1930年代に建造した軽巡洋艦の艦級です。ロンドン海軍軍縮条約によって重巡洋艦の保有数が制限されたため、その穴を埋めるべく、条約締結直後の1930年に計画が始まりました。太平洋での長距離航行を考慮し、10,000トンを超える大型艦として設計されました。

開発の背景と特徴

当初、1931年にはニューオーリンズ級重巡洋艦と同程度の装甲と12門の15.2cm砲を搭載する9,600トンの設計が検討されました。しかし、最終的には日本海軍の最上型重巡洋艦（竣工時は軽巡洋艦）に対抗するため、15門の15.2cm砲を搭載する巡洋艦として設計されることになりました。結果として、基準排水量は条約制限上限の10,000トンを超える大型軽巡洋艦となりました。

艦体防御は、舷側装甲が最大127mmと、同世代の重巡洋艦よりも重厚でした。偵察能力を強化するため、水上機4機とカタパルト2基を搭載しましたが、防御上の弱点となる航空設備は、バイタルパート外の艦尾部に集中配置されました。機関配置はニューオーリンズ級を踏襲しつつも、後期型2隻はボイラーとタービンを交互に配置する方式が採用されました。

ブルックリン級は、CL-40からCL-48までの前期型と、CL-49とCL-50の後期型（セントルイス級軽巡洋艦として扱われることもある）に分けられます。後期型は、艦橋構造が低重心になった点や、2番煙突直後に後檣が配置された点、12.7cm連装高角砲が採用された点などが外見上の特徴です。

最上型が条約制限解除後に20.3cm砲に換装されたのに対し、ブルックリン級は20.3cm砲への換装を考慮せずに設計された、15.2cm砲搭載の「大型化された軽巡洋艦」でした。第二次世界大戦での戦没艦はなく、1947年までに全艦が退役しました。

その後、サバンナとホノルルを除く5隻が南米のアルゼンチン、ブラジル、チリに売却されました。これらの国々では、実用艦というよりも、旧式戦艦に代わる海軍の象徴的な大型艦として運用されました。特にアルゼンチンに売却されたフェニックス（ヘネラル・ベルグラノ）は、フォークランド戦争で同海軍の旗艦として使用されましたが、イギリス海軍の原子力潜水艦によって撃沈され、アルゼンチン軍全体の士気低下を招きました。

艦形

艦体形状は、前級に引き続き平甲板型船体を採用していました。艦首甲板には、新設計の「Mark 16 15.2cm（47口径）速射砲」を三連装砲塔に収め、2番主砲塔を1番・3番主砲塔で挟むように3基を配置しました。その背後に塔型艦橋と単脚式の前部マストがあり、その背後には2本の煙突が近接して立っています。煙突の周囲は艦載艇置き場となっており、クレーンで運用されていました。艦載艇置き場の後部には後部マストと見張所、そして後部甲板には後向きの4番・5番主砲塔が背負式に配置され、艦尾には水上機用クレーンと射出カタパルトが設けられました。

舷側甲板には、対空火器として「12.7cm（25口径）高角砲」が片舷4基ずつ計8基が露天で配置されました。

武装

主砲

ブルックリン級の主砲には、新設計の「Mark 16 15.2cm（47口径）速射砲」が採用されました。この砲は、59kgの砲弾を最大射程23,881mまで届かせることができました。砲架の俯仰角度は仰角60度、俯角10度で、旋回角度は左右150度でした。砲身の俯仰、砲塔の旋回、砲弾の揚弾・装填は主に電力で行われ、補助的に人力も必要とされました。発射速度は毎分8～10発でした。前級では連装砲塔と単装砲架の混載でしたが、本級では全主砲塔を三連装砲塔に統一しました。

高角砲、その他の備砲

高角砲には「12.7cm（25口径）高角砲」が採用され、24.43kgの砲弾を最大仰角85度で高度8,352m、対艦用として仰角45度で13,259mまで届かせることができました。旋回と俯仰は電動と人力で行われ、左右150度旋回、仰角85度、俯角15度でした。発射速度は毎分15～20発でした。これを単装砲架で片舷4基計8門搭載しました。

防御

主砲塔の搭載形式を改良することで武装重量が軽減できたため、防御重量を増加させることができました。その結果、舷側の水線部装甲は76mmから127mmに、甲板防御は38mmから51mmへと増厚されました。

機関

ブルックリン級の機関は、高温蒸気を使用するバブコック・アンド・ウィルコックス式重油専焼水管缶8基とパーソンズ式ギヤード・タービン4基4軸推進で、最大出力100,000馬力、速力33.6ノットを発揮しました。

同型艦

ブルックリン (USS Brooklyn, CL-40)
フィラデルフィア (USS Philadelphia, CL-41)
サバンナ (USS Savannah, CL-42)
ナッシュビル (USS Nashville, CL-43)
フェニックス (USS Phoenix, CL-46)
ボイシ (USS Boise, CL-47)
ホノルル (USS Honolulu, CL-48)

参考文献

世界の艦船 2001年1月増刊号 第2次大戦のアメリカ巡洋艦 海人社
世界の艦船 2010年1月増刊号 近代巡洋艦史 海人社

関連項目

アメリカ海軍艦艇一覧

外部リンク

Brooklyn Class Cruisers
Brooklyn Class Light Cruiser
* BROOKLYN light cruisers (1938-1939)

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