ブルータス・ビーフケーキ

ブルータス・ビーフケーキ：ハルク・ホーガンとの絆と栄光に満ちたキャリア

ブルータス・ビーフケーキ、本名エドワード・ハリソン・レスリーは、1957年4月21日フロリダ州タンパ生まれのプロレスラーです。彼のキャリアは、幼馴染にして兄のように慕うハルク・ホーガンとの深い繋がりによって彩られています。

1978年にプロレスラーとしてデビューしたレスリーは、テネシー州メンフィスのCWAで活躍を始めます。当時テリー・ボールダーというリングネームだったホーガンにあやかり、エディ・ボールダーとして活動。兄弟タッグチーム『ボールダー・ブラザーズ』を結成し、ロン・バス＆ソニー・キング、ハンス・シュローダー＆ゲシュタポ、ブロンド・ボンバーズといった強豪チームとしのぎを削りました。ホーガンがハルク・ホーガンとして人気を博すと、レスリーもディジー・ホーガンを名乗り、ホーガンの弟を演じました。兄弟タッグチームとしての活躍は、多くのファンを魅了しました。

1980年、ホーガンが新日本プロレスで活躍し始めると、レスリーも1982年8月に『エド・レスリー』として初来日。新日本プロレスは彼をホーガンとの兄弟タッグとして売り出そうとしましたが、レスリーはタッグ結成を拒否。ホーガンとのシングルマッチを希望したのです。その理由は、「兄を倒すため」という、並々ならぬ決意表明でした。実際、来日中はホーガンと一度もタッグを組むことなく、マスクド・スーパースターやサージェント・スローターといった強豪レスラーと共闘し、新日本プロレス所属のホーガンと幾度も対戦しました。

1984年7月、ホーガンの仲介でWWF（World Wrestling Federation）入りを果たします。そこで彼は顔の一部を整形し、『ブルータス・ビーフケーキ』として生まれ変わります。男性ストリッパーを思わせる派手なギミックとキザなヒールとして人気を博し、マネージャーのジョニー・バリアントと共に、ホーガンのWWF世界ヘビー級王座やティト・サンタナのインターコンチネンタル王座に幾度も挑戦しました。

1985年4月、グレッグ・バレンタインとのタッグチーム『ザ・ドリーム・チーム』を結成。同年8月24日には、バリー・ウインダム＆マイク・ロトンドのUSエクスプレスを破り、WWF世界タッグ王座を獲得します。この王座は翌1986年4月7日のレッスルマニア2でブリティッシュ・ブルドッグスに敗れるまで保持しました。

1987年3月29日のレッスルマニアIIIでは、バレンタイン＆バリアントとの仲間割れによりベビーフェイスに転向。アドリアン・アドニスとの抗争が始まり、ロディ・パイパー対アドニスの髪切りマッチでは、パイパー側に加担してアドニスの髪を切りました。この出来事から『ザ・バーバー（散髪屋）』の異名を取り、園芸用の大バサミを使った入場パフォーマンスや、『ザ・バーバーショップ』というインタビューコーナーを担当するなど、人気を不動のものにしました。

しかし1990年、パラセーリング事故で顔面を強打し長期欠場を余儀なくされます。翌年にはフェイスマスクを着用して復帰しますが、以前のような活躍はできませんでした。1993年、WWFに復帰したホーガンと『メガ・マニアックス』を結成し、レッスルマニアIXでWWF世界タッグ王座に挑戦するなど、再びリングに上がりました。新日本プロレスにも参戦し、ジェイク・ロバーツと組んでジュラシック・パワーズと対戦するなど、世界規模で活躍を続けました。

1994年、ホーガンがWCW（World Championship Wrestling）に移籍すると、レスリーもWCWと契約。ケビン・サリバン率いるダンジョン・オブ・ドゥームの一員としてホーガンと敵対したり、nWoではホーガンの信者として共闘したりと、リングネームを変えながら活躍しました。しかし、パラセーリング事故の後遺症により、1999年からセミリタイア状態となりました。

2000年代以降はインディー団体にゲスト参戦し、2007年にはバレンタインとドリーム・チームを再結成。2009年にはホーガンのイベントであるハルカマニアにも参加するなど、精力的に活動を続けました。2010年にはCWIヘビー級王座を獲得するなど、現役レスラーとしての意欲も衰えませんでした。

2019年4月6日、WWE殿堂入りを果たし、ハルク・ホーガンから表彰されました。彼の長年にわたるプロレス界への貢献が認められた瞬間でした。

ブルータス・ビーフケーキは、ハルク・ホーガンとの特別な関係性、数々のタイトル獲得、そして独特のキャラクターでプロレス史に名を刻んだレスラーと言えるでしょう。彼の激動の人生は、これからも多くのプロレスファンに語り継がれることでしょう。

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