ブレーキ (自転車)

自転車ブレーキのすべて：種類、歴史、規格から安全性まで

自転車のブレーキは、走行中の速度制御や安全な停止を担う重要な機構です。本記事では、自転車に搭載される様々なブレーキの種類、歴史、規格、そして安全性に関する法規制について詳細に解説します。

1. 自転車ブレーキの規格と法規制

自転車の安全性確保のため、ブレーキ性能に関する規格や法規制が各国で定められています。欧州のCEマーク、アメリカのCPSC規格、日本のJIS規格、SGマーク、自転車協会認証（BAA）などが代表的な安全規格です。

日本の道路交通法では、時速10kmで走行中、3m以内で停止できるブレーキを前後輪に装備することが義務付けられています。足を地面につけたり、タイヤを足で踏む、ペダルを逆回転させるといった方法は、法的にブレーキとして認められていません。

2. リムブレーキ

リムブレーキは、最も古くから使われているブレーキ形式です。ブレーキシューを車輪のリムに押し付けることで制動力を得ます。様々な種類が存在し、それぞれに特徴があります。

2.1 ロッド式リムブレーキ

最も古いリムブレーキで、金属棒（ロッド）でブレーキシューをリムに押し付けます。構造がシンプルで耐久性が高いため、補修部品の入手が困難な地域でも使用されてきました。しかし、製造コストが高く、重量も重いため、現在ではほとんど使われていません。

2.2 キャリパーブレーキ

主にロードバイクに採用され、高速走行時でも優れた速度制御性を発揮します。「サイドプル」と「センタープル」の2種類があり、それぞれにシングルピボットやダブルピボットといったバリエーションがあります。サイドプルは現在でも多くの自転車に使用されていますが、センタープルはBMXなどで一部使用されているのみとなっています。

2.3 カンチレバーブレーキ

シクロクロスやランドナーなどでよく使われます。初期のマウンテンバイクにも多く採用されましたが、Vブレーキやディスクブレーキに取って代わられています。独特の取り付け方法が特徴です。

2.4 Vブレーキ

マウンテンバイク向けに開発され、クロスバイクにも採用されています。高い制動力と整備性が特徴で、カンチレバーブレーキよりも制動力が向上しています。ただし、ブレーキレバーは互換性がないため、専用のレバーが必要です。ショート・Vブレーキやミニ・Vブレーキといったバリエーションも存在します。

2.5 油圧リムブレーキ

ワイヤーではなく油圧ピストンでブレーキシューをリムに押し付けます。非常に強力な制動力とコントロール性能を備えていますが、メンテナンス性が悪く、現在ではトライアルバイクなどに限られています。

3. ハブブレーキ

ハブブレーキは、制動部分がホイールのハブに直結しているブレーキです。リムブレーキに比べて高い制御性と、雨天時でも安定した制動力を実現します。

3.1 ディスクブレーキ

ハブに固定されたローターを挟み込むことで制動力を得ます。機械式と油圧式があり、特に油圧式は強力な制動力を発揮します。マウンテンバイクを中心に普及し、近年はロードバイクにも採用されています。

3.2 バンドブレーキ

軽快車の後輪ブレーキとして古くから使われています。バンドでブレーキドラムを締め付けることで制動力を得ますが、騒音や雨天時の制動力の低下が課題でした。

3.3 サーボブレーキ

バンドブレーキの欠点を改善したブレーキです。雨天時でも安定した制動力を発揮し、騒音も低減されています。

3.4 ローラーブレーキ

ハブ内部に内蔵されたカムとローラーがドラムの内側にブレーキシューを押し付ける構造です。近年、シティサイクルの上級モデルを中心に採用されています。

3.5 メタルリンクブレーキ

ドラムの外側から金属板を押し付けるブレーキです。バンドブレーキと似た構造ですが、ローラーブレーキのような性能を持っています。放熱性に優れ、騒音も少ないのが特徴です。2023年4月に販売終了。

3.6 ドラムブレーキ

回転するドラムの内側にブレーキシューを押し付けるブレーキです。放熱性に優れていますが、サイズが大きいため自転車にはあまり使用されません。

3.7 コースターブレーキ

ペダルを逆回転させることで作動するブレーキです。ブレーキレバーやワイヤーが不要で、シンプルな構造が特徴です。しかし、制動力の微妙な調整が難しく、スポーツ走行には適しません。ビーチクルーザーなどで多く使用されています。

4. まとめ

自転車ブレーキは、その種類によって特徴や用途が大きく異なります。それぞれのブレーキの特性を理解することで、安全で快適な自転車ライフを送ることが可能になります。本記事が、自転車ブレーキの選び方やメンテナンスに役立つ情報を提供できたことを願っています。

もう一度検索