ブーテース

ブーテースについて

ブーテース（古希: Βούτης, Būtēs）は、ギリシア神話に登場する重要な人物で、彼の名は「ブテス」としても知られています。彼には二つの異なる系統があります。まず、テレオーンの息子としての彼の物語を見ていきましょう。

テレオーンの息子としてのブーテース

ブーテースは、テレオーンと河神エーリダノスの娘ゼウクシッペーの子供です。彼はアテーナイで養蜂業を営んでおり、イアーソーンが率いるアルゴナウタイの一員として名を知らせました。この船団は、金の羊毛を求めてコルキスへ向かう冒険を繰り広げました。帰路で、彼らはセイレーンの島の近くを通過する際、オルペウスがセイレーンの魅惑的な歌に対抗して歌ったことで有名です。しかし、ブーテースはその音楽に耐えきれず、泳ぎ去ってしまいました。

この後の神話の中で、愛の女神アプロディーテーがブーテースをさらい、シチリア島にあるリリュバイオンへ住まわせたとされています。ブーテースとの間に生まれた息子エリュクスは、その後シチリア島の王として君臨しましたが、ヘーラクレースとのレスリングの試合で命を落としました。

パンディーオーンの息子としてのブーテース

次に、ブーテースはアテーナイの王パンディーオーンとゼウクシッペーの息子としての側面を持っています。彼は双子の兄弟エレクテウスと共に生まれ、姉妹にはプロクネーとピロメーラーがいます。パンディーオーンの死後、エレクテウスが王位を継ぐと、ブーテースはアテーナーとポセイドーンの神官に任命されました。彼はエレクテウスの娘クトニアーと結婚しました。この系譜の中で、ブーテースは重要な役割を果たしました。

ブータースに関するロバート・グレーヴスの解釈によれば、彼はもともとトラーキア人であり、北風の神ボレアースの息子でもあったとされています。彼がトラーキア人としてナクソス島からテッサリアーに侵入し、ラピテース族の王女コローニスを襲ったという物語も伝わっています。この結果、ブーテースとコローニスの娘がペイリトオスの妻となったヒッポダメイアとされているのです。

グレーヴスは、パウサニアスの記述をもとに、彼の子孫であるブータダイが紀元前6世紀にアテーナイでアテーナー・ポリアスとポセイドーン・エレクテウスの神官を世襲していたと主張しています。このことから、本来の系譜が神話として改変されたと考えられています。

系図

ブーテースの複雑な系譜は、彼がさまざまな伝説に絡んでいることを示しています。彼の冒険や関係性は、ギリシア神話の中での多くの登場人物や神々に影響を及ぼす重要な要素となりました。彼の神話は、ギリシアの文化や信仰体系の理解を深める上でも重要な位置を占めています。

参考図書

• - アポロドーロス『ギリシア神話』（高津春繁訳、岩波文庫）
• - ロバート・グレーヴス『ギリシア神話』（上・下、高杉一郎訳、紀伊國屋書店）

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