プラチュワップキーリーカン県

プラチュワップキーリーカン県は、タイ中部の県の一つで、ペッチャブリー県とチュムポーン県に挟まれ、西はミャンマーとの国境に接しています。一般的に「プラチュワップ」と略称されます。報道では「プラチュアプキリカン県」とも表記されることがあります。

地理

この県はマレー半島の付け根に位置し、特に県庁所在地南部ではタイ湾からミャンマー国境までわずか13kmしかありません。県全体の面積は群馬県とほぼ同じです。タイ湾側の海岸には砂浜が広がり、ラーマ7世がクライカンウォン宮殿を建てた場所です。その後、チャアム＝フワヒン地域を中心に海岸開発が進み、リゾート地として発展しました。一方で、内陸部には1,494メートルの高さのルワン山があり、海岸から山までの距離が短いのが特徴です。県内には1966年に設立されたカオ・サームローイヨート海洋国立公園があり、タイ最大の淡水湿原を擁しています。また、マングローブ林や干潟も存在し、多様な生態系を育んでいます。

気候

気候はサバナ気候に分類され、12月から4月が乾季、5月から11月が雨季です。乾季は日照時間が長く、気温も高くなります。雨季は曇りや雨の日が多いものの、降水量は比較的少なく、特に10月下旬から11月前半にかけて降水量が増加します。

歴史

アユタヤ王朝が滅亡した後、プラチュワップは長い間放置されていましたが、1845年に再建が始まりました。ラーマ2世により、現在のムアンプラチュワップキーリーカン郡にムアンバーンナーンロムという町が建設されましたが、土地が痩せていたため、ムアンクイ（現・クイブリー郡）に移転しました。その後、ラーマ4世はムアンバーンナーンロムをムアンプラチュワップキーリーカンと改称しました。

ラーマ4世は天文学に精通しており、1868年9月18日に日食を観測するためにこの地を訪れました。しかし、観測地に選んだサームローイヨート付近はマラリアの多発地帯であり、ラーマ4世もマラリアに感染し、2週間後に亡くなりました。

1894年、ラーマ5世はプラチュワップキーリーカン県をペッチャブリー県の管轄下に置きました。1898年、ラーマ5世はクイブリー県の県庁をプラチュワップ湾に移転し、1906年にはプラーンブリー県、カムヌートノッパクン県、プラチュワップキーリーカン県を統合してプラーン県としました。1915年、ラーマ6世は地名の混乱を避けるため、再びプラチュワップキーリーカン県という名称に戻しました。

第二次世界大戦中の1941年12月8日、旧日本軍が上陸したのもこのプラチュワップです。また、2022年12月18日には、同県沖でコルベット艦スコータイが転覆・沈没する事故が発生しました。

県章

県章には、ラーマ5世が建てたカオ・サームローイヨート海洋国立公園内のクーハーカルハット宮殿が描かれています。県木と県花は Manilkara hexandra です。

隣接する県

チュムポーン県
タニンダーリ地方域（ミャンマー）
ペッチャブリー県

行政区

プラチュワップキーリーカン県は8つの郡に分かれ、さらに48の町と388の村があります。

ムアンプラチュワップキーリーカン郡
クイブリー郡
タップサケー郡
バーンサパーン郡
バーンサパーンノーイ郡
プラーンブリー郡
フワヒン郡
* サームローイヨート郡

プラチュワップキーリーカン県は、豊かな自然と歴史的な背景を持つ魅力的な地域です。

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