プリオプラテカルプス亜科

プリオプラテカルプス亜科 (Plioplatecarpinae) について

プリオプラテカルプス亜科は、後期白亜紀に生息していたモササウルス科に属する、派生的な海生爬虫類のグループです。モササウルス科の中でも特に進化したグループであり、全ての大陸から化石が発見されています。ただし、オーストラリアでの化石産出については疑問視されています。プリオプラテカルプス亜科には、アンゴラサウルス、エクテノサウルス、セルマサウルスといった属の他、プリオプラテカルプス族（ラトプラテカルプス、プラテカルプス、プレシオプラテカルプス、プリオプラテカルプス）が含まれます。

特徴

プリオプラテカルプス亜科は、比較的小型から中型のモササウルス類で、他の亜科のモササウルス類と比較して、より高速で機敏な動きを得意としていたと考えられています。彼らは、チューロニアン期に最初のグループが出現し、モササウルス科の中でも最古参の一群として知られています。その後、約2400万年後のマーストリヒチアン期末まで生息していました。

しかし、中期カンパニアン期に発生したモササウルス科の絶滅事変の影響を強く受け、マーストリヒチアン期にはモササウルス亜科との競争にさらされ、その数と多様性を大きく減少させました。

語源

プリオプラテカルプス亜科という名前は、プリオプラテカルプス属に由来しています。この属名は、ギリシャ語の「pleion（さらなる）」、「plate（櫂）」、「karpos（手根骨）」を組み合わせたものです。

記載

ラッセル(1967)によって定義されたプリオプラテカルプス亜科の特徴は以下の通りです。

前上顎骨の歯の前方に存在する吻部の突出が小さいか、あるいは存在しない。
第X - XII脳神経が1つの孔を通って後耳骨側方の壁から離れる。
基後頭骨と基蝶形骨に動脈のための深い溝が存在する。
方形骨のあぶみ骨上突起が大きく、末端が鈍く、側面が平行である。
仙椎以前の椎骨が29個以下である。
仙椎以前の一連の長さは胴体長を下回り、後方の尾椎の神経棘は短く、卓越した鰭を形成しない。
血道弓は通常尾椎の椎体に癒合しない。
四肢は滑らかな関節面を持たない。

これらの特徴は、プリオプラテカルプス亜科が他のモササウルス科のグループとは異なる独特の進化を遂げたことを示しています。

系統

ラッセルは、プリオプラテカルプス族とプログナトドン族をプリオプラテカルプス亜科に含めましたが、プログナトドン族は後にベルによってモササウルス亜科に再分類されました。

PolcynとBell(2005)は、より包括的な分岐群としてRussellosaurinaを設立しました。これには、ティロサウルス亜科とプリオプラテカルプス族、そしてテティサウルス、ラッセロサウルス、ヤグアラサウルスからなる姉妹群が含まれます。

以下に、Simões et al. (2017) に基づいたクラドグラムを示します。


[クラドグラムの図は省略]

種と分類

プリオプラテカルプス亜科には、以下の属と種が含まれます。

アンゴラサウルス
アンゴラサウルス・ボカゲイ

エクテノサウルス
エクテノサウルス・クリダストイデス

セルマサウルス
セルマサウルス・ルッセリ
セルマサウルス・ジョンソニ

プリオプラテカルプス族

ラトプラテカルプス
ラトプラテカルプス・ニコルサエ
ラトプラテカルプス・ウィリストニ
プラテカルプス
プラテカルプス・ティンパニティクス
プレシオプラテカルプス
プレシオプラテカルプス・プラニフロンス
プリオプラテカルプス
プリオプラテカルプス・プリマエヴス
プリオプラテカルプス・ホウゼアウイ
* プリオプラテカルプス・マルシイ

プリオプラテカルプス亜科は、多様な種を含む興味深いグループであり、その進化史は、後期白亜紀の海洋生態系におけるモササウルス科の多様化を理解する上で重要な要素となります。

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