プリンストン (CVL-23)

プリンストン(CVL-23):太平洋の戦火に散った軽空母

アメリカ海軍の航空母艦「プリンストン(USS Princeton, CVL-23)」は、インディペンデンス級航空母艦の2番艦として知られています。その艦名は、アメリカ独立戦争におけるプリンストンの戦いに由来し、同名艦としては4隻目にあたります。軽空母として活躍したプリンストンは、太平洋戦争において数々の重要な作戦に参加し、大きな功績を残しましたが、悲劇的な最期を迎えました。本稿では、その艦歴と沈没の経緯を詳細に解説します。

艦歴と初期の活躍

プリンストンは、当初はクリーブランド級軽巡洋艦「タラハシー」として建造されましたが、後に空母への改装が決定され、1942年2月16日に艦種変更、3月31日には「プリンストン」と改名されました。1943年2月25日に就役すると、カリブ海での整調航海の後、太平洋へと向かいました。

同年、ベーカー島攻撃やマキン、タラワへの攻撃に参加し、航空支援を行いました。10月には、第38任務部隊に編入され、ブーゲンビル島への上陸作戦を支援。ラバウル空襲においても大きな戦果を収め、日本軍に大きな打撃を与えました。11月にはナウル島の飛行場無力化作戦にも参加するなど、太平洋戦争における初期の重要な作戦に大きく貢献しました。

激戦と沈没

1944年に入ると、プリンストンはクェゼリン環礁、マジュロ、エニウェトク環礁などの作戦に参加し、上陸作戦を支援しました。その後、カロリン諸島、パラオ、マリアナ諸島への攻撃にも参加。マリアナ沖海戦では、艦載機による30機の撃墜と対空砲火による天山艦上攻撃機3機の撃墜という輝かしい戦果をあげました。

同年10月、レイテ沖海戦に突入。第38任務部隊に所属するプリンストンは、ルソン島沖を巡航し、地上攻撃や友軍艦艇への攻撃阻止に尽力しました。しかしながら、10月24日、日本軍の攻撃を受けました。日本軍機の彗星による急降下爆撃を受け、爆弾が艦体中央部に命中。

爆弾そのものの被害は軽微でしたが、格納庫に待機していた艦載機に搭載された燃料と弾薬に引火し、大規模な誘爆と火災が発生しました。消火活動は行われましたが、急速に広がる炎と爆発によって、プリンストンは機能を失っていきました。僚艦による懸命な救助活動が行われましたが、激しい火災と相次ぐ爆発により、状況は悪化の一途を辿ります。ついに魚雷庫の爆弾が誘爆し、プリンストンは沈没の危機に瀕しました。

17時49分、プリンストンは最終的に大きな爆発を起こし、艦体は消滅しました。乗員1,361名のうち、10名の士官と98名の兵員が戦死しました。救助活動に当たった僚艦も大きな損害を受けました。

沈没原因とその後

プリンストンの沈没原因としては、まず格納庫での艦載機の燃料と弾薬による誘爆・延焼が挙げられます。さらに、誤報による救助活動の中断、そして魚雷庫の爆弾誘爆が状況を悪化させました。魚雷庫は、爆弾の格納場所として十分な安全性を備えておらず、このことが沈没を早めた要因の一つと考えられています。

プリンストンは、その短いながらも輝かしい戦歴と悲劇的な最期から、太平洋戦争における重要な艦船として記憶されています。その功績は、9つの従軍星章と、艦名を受け継いだ後継艦、そして犠牲となった乗員にちなんで命名された艦艇などに受け継がれています。プリンストンの物語は、太平洋戦争の激しさ、そして戦争の悲劇を象徴するものです。

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