プンシュ

プンシュ (Punsch)

プンシュは、スウェーデンおよび北欧の一部の国々で親しまれている伝統的なリキュールです。アラック、蒸留酒、砂糖、水、そして数種類の香料をブレンドして造られます。アラックパンチ、カロリックパンチ、単にパンチとも呼ばれることがあります。

概要

アラックは、元々はジャワ島から輸入された強い酒で、プンシュの主原料となります。プンシュ（punsch）という名前は、英語の「punch」に由来しますが、伝統的なスウェーデンのプンシュは、一般的なパンチとは大きく異なります。「punch」の語源は定かではありませんが、5つの材料で作られることから、マラーティー語やヒンディー語で「5」を意味する「pānch」というインドの飲み物に由来するという説があります。

スウェーデンにおけるプンシュの歴史

スウェーデンにアラックが初めて輸入されたのは1733年、「スウェーデン王フレドリク号」がヨーテボリに到着した時でした。アラックは高価な輸入品として、富裕層を中心に広まり、その後、社会のあらゆる階層に浸透していきました。

プンシュやアラックが広まったことは、18世紀のスウェーデンの詩人で作詞家のカール・ミカエル・ベルマンの作品からも伺えます。彼は、ストックホルムの酒飲みや放蕩者、娼婦などを描いた『バックス神殿』、『フレードマン書簡』、『フレードマン歌集』の中で、プンシュを繰り返し取り上げています。

19世紀には、スウェーデンでのプンシュの消費がピークを迎えました。特にウプサラとルンドの大学生や教員に愛され、プンシュをテーマにした歌や、学生団体の祭りで歌われる歌が多く作られました。これらの伝統は、今日まで受け継がれています。

燗か冷か？

当初、アラックは飲む直前に他の材料と混ぜて温めて提供されていました。しかし、1840年代にプンシュが一般的に販売されるようになると、冷やして飲むスタイルが広まりました。現在では、スウェーデンの伝統的なフレーバードウォッカであるブレンヴィンと同様に、冷やして飲むのが一般的です。ただし、冬にスウェーデンのエンドウ豆のスープと一緒に提供される場合は、温めて飲むのが伝統的です。

北欧の一般的なブランド

カールスハムス・フラッグプンシュ (Carlshamns Flaggpunsch)
セーデルルンド・カロリック (Cederlunds Caloric)
ファシレ・プンシュ (Facile Punsch)
トローサ・プンシュ (Trosa Punsch)
ヘルミ・アラックプンシ (Helmi Arrakkipunssi)

北欧の過去のブランド

グレンステッツ・ブロー (Grönstedts Blå)
ビル・プンシュ (Bil-Punsch、「自動車プンシュ」)
フスホールズ・プンシュ (Hushålls-Punsch、「家庭プンシュ」)
カヴァッレリ・プンシュ (Kavalleri-Punsch、「騎兵プンシュ」)
スポート・プンシュ (Sport-Punsch、「スポーツプンシュ」)
テレフォン・プンシュ (Telefon-Punsch、「電話プンシュ」)

エピソード

作曲家のフランツ・シューベルトは、酒場に行くと最初に数杯ビールを飲み、その後、より安価なプンシュに切り替えていたと言われています。

関連項目

フルーツポンチ
ポン酢

外部リンク

プンシュ（Punsch） - スウェーデン・ワインとスピリッツ歴史博物館

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