ベンジャミン・フランクリン・メダル (アメリカ哲学協会)

ベンジャミン・フランクリン・メダル

ベンジャミン・フランクリン・メダル（Benjamin Franklin Medal）は、アメリカ哲学協会が、科学、学術、公共サービスなど、幅広い分野で傑出した功績を挙げた個人に贈る大変名誉ある賞です。このメダルは「ベンジャミン・フランクリン二百周年メダル（Benjamin Franklin Bicentennial Medal）」と呼ばれることもあります。

メダル制度は1937年に正式に創設されましたが、それ以前の1906年頃から既に同名のメダルが授与されていた歴史があります。長きにわたり、様々な分野の偉大な貢献者がこの栄誉に浴してきました。

時代を経て、顕彰の対象分野と部門は変化してきました。一時的な部門として、1985年から1991年まで「人道および科学における業績部門（Distinguished Achievement in the Humanities or Sciences）」が設けられ、幅広い分野の功績が称えられました。

現在、ベンジャミン・フランクリン・メダルは主に二つの部門で構成されています。一つは1987年に設立された「公共サービス部門（Distinguished Public Service）」で、社会や公共の福祉に顕著な貢献をした人物が対象となります。もう一つは1993年に設けられた「科学における業績部門（Distinguished Achievement in the Sciences）」で、科学分野での画期的な発見や進歩に寄与した研究者などが顕彰されます。これらの部門は現在も続いており、各界のリーダーや先駆者たちが選ばれています。

これまで多くの著名な人物がベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞しています。その中には、国際的に知られる政治家、科学者、文化人が含まれます。

歴史的な受賞者（一部）として、チェコスロバキア大統領を務めたエドヴァルド・ベネシュ（1939年）、ノーベル物理学賞受賞者のアーサー・コンプトン（1945年）などがいます。

人道および科学における業績部門（1985-1991）では、ノーベル生理学・医学賞受賞者のチャールズ・ハギンズ（1985年）、小児循環器学のパイオニアであるヘレン・ブルック・タウシグ（1986年）、理論物理学者のジョン・ホイーラー（1989年）などが受賞しました。

公共サービス部門（1987年-現在）の受賞者には、イギリスの元首相マーガレット・サッチャー（1987年）、最高裁判事のサーグッド・マーシャル（1992年）、ノーベル化学賞・平和賞受賞者のライナス・ポーリング（1994年）、南アフリカ共和国の元大統領ネルソン・マンデラ（2000年）、最高裁判事のサンドラ・デイ・オコナー（2003年）、公民権弁護士のブライアン・スティーブンソン（2018年）などが名を連ねています。

科学における業績部門（1993年-現在）では、数学者のマイケル・アティヤ（1993年）、ノーベル物理学賞受賞者の楊振寧（1993年）、著名な遺伝学者バーバラ・マクリントック（1993年）、進化生物学者のエルンスト・マイヤー（1995年）、DNA二重らせん構造発見者であるフランシス・クリックとジェームズ・ワトソン（2001年）、ノーベル生理学・医学賞受賞者のエリック・カンデル（2006年）、移植外科医のトーマス・スターツル（2016年）、遺伝学者のメアリー＝クレア・キング（2018年）、企業の創設者であり生物工学者でもあるマルティーヌ・ロスブラット（2023年）など、各分野の第一人者が受賞しています。

このメダルは、建国の父であり科学者、政治家でもあったベンジャミン・フランクリンの名を冠し、彼の多才さと公共への貢献精神を体現するものであると言えるでしょう。アメリカ哲学協会は、このメダルを通じて、人類社会の進歩に貢献した傑出した個人の業績を讃え続けています。

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