ホライズン計画
ホライズン計画
ホライズン計画（Project Horizon）は、フランスとイタリアが共同で進めたミサイル駆逐艦の開発プロジェクトです。もともとはイギリスも参加していた三国協同プロジェクトであり、当初の艦種はフリゲートに分類されていました。しかし、年月が経つにつれ、フランスとイタリアのみが参加を続ける形となり、最終的にはフランス海軍のフォルバン級駆逐艦と、イタリア海軍のアンドレア・ドーリア級駆逐艦が建造されました。これらの艦は、北大西洋条約機構（NATO）によって駆逐艦を示す符号「D」が付けられています。
計画の発端
1980年代に入り、NATO加盟8ヶ国—フランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、カナダ、イギリス、アメリカ—は、NFR-90構想を始動させました。この構想は、1960年代に製造された多くの水上戦闘艦が老朽化しつつあったため、共通のフリゲートを設計・採用し、大量建造することで相互運用性を高め、コストを削減しようとするものでした。
しかし、計画が進む中で各国の要望が異なることが判明し、1989年にはイギリスが計画から脱退、続いてフランスとイタリアも撤退しました。残る5ヵ国での続行を試みましたが、最終的に1990年1月には計画はキャンセルされることとなりました。
新たな協力の開始
イギリスがNFR-90の脱退後に独自の防空艦開発を始める一方で、フランスもまたシュフラン級駆逐艦の後継艦を模索していました。そこで、1990年9月から10月にかけて、英仏間で覚書が交わされ、英仏将来フリゲート（A3F）計画が始動しました。イタリアも1991年4月にオブザーバー参加し、その後正式に参加することを決定しました。1994年7月には三国間で合意覚書が取り交わされ、ホライズン計画本格化の道筋が築かれました。
共同開発の内容
ホライズン計画では、対空武器システムPAAMS（Principal Anti Air Missile System）を共同開発し、共通デザインの船体に搭載する計画でした。詳細な武装については各国の独自性が求められましたが、フランス・イタリアとイギリス間で多くの意見の相違がありました。特にPAAMSの主要レーダーに関して、フランスとイタリアは精密なCバンドのEMPARを提案したのに対し、イギリスは長距離探知可能なSバンドのSAMPSONを求めました。
さらには、戦術情報処理装置に関しても、フランスとイタリアが空母「シャルル・ド・ゴール」の技術を基にしたHEPICSを提唱した一方、イギリスは23型フリゲートと同様の分散処理システムを優先しました。
結果と今後
とりわけ船体設計に関する意見の対立は激化し、イギリスは1999年4月にプロジェクトからの離脱を発表しました。その後、フランスとイタリアは計画を続行し、2000年にはフランスのDCNとイタリアのフィンカンティエリが共同企業を設立し、ホライズン駆逐艦の建造が決定されました。イギリスもPAAMSの開発には参加し、後にこのシステムを搭載した45型駆逐艦を建造しています。
参考文献
関連情報
このように、多国間の協力と競争が交錯しつつも、ホライズン計画はフランスとイタリアのミサイル駆逐艦開発へとつながる重要なステップとなりました。
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