ホルムズ占領 (1507年)

1507年のホルムズ占領：ポルトガルによるペルシア湾の掌握

1507年に発生したホルムズ占領は、ポルトガルのアフォンソ・デ・アルブケルケによるホルムズ島への侵攻作戦です。この占領の成功により、ポルトガルはペルシア湾を通るインドとヨーロッパ間の重要な交易路を独占し、その勢力を拡大しました。

ポルトガルの戦略的意図

当時のポルトガル王、マヌエル1世は、イスラム勢力による貿易の妨害を阻止するため、交易路の要所を占領するという戦略を立てました。具体的には、以下の3つの目標が設定されました。

1. アデン湾の占領：アレキサンドリアとの連絡を遮断
2. ホルムズの占領：ベイルートとの連絡を遮断
3. マラッカの占領：中国との交易を支配下に置く

この計画の第一段階として、トリスタン・ダ・クーニャ率いる艦隊がソコトラ島に派遣され、イスラム側の要塞を攻撃し、見事に成功を収めました。これにより、ポルトガルは紅海への入り口を支配下に置きました。その後、艦隊の大部分はインドへ向かい、残りの数隻はアルブケルケの指揮下で守備隊として残されました。

ホルムズ占領の経緯

アルブケルケは当初、オマーン海岸のカルハットやマスカットを攻撃し、占領しました。しかし、彼は本国の命令に反し、ホルムズ島への攻撃を強行しました。ホルムズの王は当初、ポルトガル王への忠誠を誓い、ポルトガルによる築城を許可しましたが、現地住民の反発やポルトガル軍内部からの脱走者が相次ぎ、築城は難航しました。

1507年10月7日、アルブケルケは築城を開始し、駐屯兵の手配を進めましたが、現地人の反乱や自軍からの逃亡者の続出により、計画は頓挫しました。

一時的な撤退と再占領

1508年1月、ホルムズ王国の支援を受けた住民たちはポルトガルの守備隊を攻撃し、アルブケルケは数日間の戦闘の末、撤退を余儀なくされました。同年4月には、残りの2隻の船も出航し、未完成の城塞だけが残されました。アルブケルケはソコトラ島に戻りましたが、そこでも守備隊が食糧不足に苦しんでいる状況でした。その後、アデン湾付近でイスラム船を略奪したり、バーレーンの要塞を焼き討ちにするなどした後、拿捕した商船でインドへ向かいました。

しかし、アルブケルケは諦めませんでした。1515年3月、27隻の艦隊を率いて再びホルムズへ侵攻し、4月1日に要塞を占領しました。これにより、ホルムズはその後100年以上にわたりポルトガルの支配下に置かれることとなりました。ポルトガルによるホルムズ支配は、1622年にイングランドとサファヴィー朝の連合艦隊によって解放されるまで続きました。

参考文献

Sir Percy Molesworth Sykes (1915). A History of Persia. Macmillan and Company, limited.
James-Baillie Fraser (1825). Narrative of a Journey Into Khorasan, in the Years 1821 and 1822 (etc.). Longman.
Angie Turner (2008), “Muscat”, in Michael R.T. Dumper; Bruce E. Stanley, Cities of the Middle East and North Africa, USA: en:ABC-CLIO, pp. 262–264, ISBN 9781576079195

関連項目

ホルムズ王国
* ポルトガル王国

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