ホーカー・シドレー P.1154

ホーカー・シドレー P.1154

ホーカー・シドレー P.1154は、イギリスのホーカー・シドレー社によって設計された垂直離着陸機であり、超音速戦闘攻撃機としての性格を持っていました。P.1154はその前身であるP.1127の改良型であり、開発は1950年代後半に始まりました。P.1127は推力偏向技術を採用した実験機として成功を収め、1960年10月に初飛行を果たしました。

1961年8月、北大西洋条約機構（NATO）がNBMR3の基準に基づいて垂直離着陸戦闘機の開発を要請し、ホーカー・シドレーはこれに応じてP.1150の構想を検討しました。P.1150はエンジンの排気部分に燃焼装置を追加することで出力を強化し、最終的にはP.1154案が策定されました。1962年5月に、P.1154はフランスのミラージュ III Vと共に採用されることが決定し、実際の開発が始まることになります。

この機体はイギリス空軍と海軍の両方に対して設計されました。空軍は単座型の攻撃機を、海軍は複座型の迎撃機をそれぞれ求めていました。P.1154はP.1127の進化版として、ブリストル・シドレー BS.100エンジンを搭載し、これはターボファンエンジンで、出力を117kNにまで引き上げるPCB（plenum chamber burning）技術を採用していました。機体はP.1127よりも大きく、部隊ごとに性能要件や荷載量が異なるため、空軍型と海軍型ではさまざまな設計の違いが見受けられました。

しかし、1963年に海軍は艦載戦闘機F-4Kの導入を決定したことから、P.1154の開発は危機に瀕します。その後、空軍も1964年にBAC TSR-2の開発に注力し、最終的には開発の中止を選択しました。このような経緯から、1965年に正式にP.1154の開発予算は打ち切られ、そのプロジェクトは終了となりました。

なお、P.1127の実験機としての試験は続けられており、その成果はホーカー・シドレー ハリアーとして実用機に発展しました。P.1154は決して実機が製造されることはありませんでしたが、その設計は後の航空機開発に一定の影響を与えました。

仕様諸元 (P.1154 – イギリス空軍型)

• - 乗員: 1
• - 全長: 15.07 m（49 ft 5 in）
• - 翼幅: 7.32 m（24 ft 0 in）
• - 最大離陸重量: 14,050 kg（30,970 lb）
• - 動力: ブリストル・シドレー BS.100/9 PCBを備えたターボファンエンジン
• - 出力: 147 kN（33,000 lbf）（アフターバーナー使用時）

性能

• - 最大速度: マッハ2.0（高高度時）、マッハ1.3（海面高度時）
• - 実用上昇限度: 15,000 m（49,000 ft）

武装

• - 2 x 1000 lb 爆弾

関連項目

• - ホーカー・シドレー P.1127/Kケストレル
• - ホーカー・シドレー ハリアー
• - BAe ハリアー II
• - ブリティッシュ エアロスペース P.125
• - EWR VJ 101
• - ヤコブレフ Yak-141

参考文献

• - Buttler, Tony (2000). British Secret Projects: Jet Fighters Since 1950. Hinckley, UK: Midland Publishing. ISBN 1-85780-095-8
• - Jefford, C.G, ed (2006). The RAF Harrier Story. London: Royal Air Force Historical Society. ISBN 0-9530345-2-6.
• - Jenkins, Dennis R (1998). Boeing/BAe Harrier. Warbird Tech. 21. North Branch, Minnesota: Specialty Press. ISBN 1-58007-014-0
• - Mason, Francis K (1992). The British Fighter Since 1912. Annapolis, Maryland: Naval Institute Press. ISBN 1-55750-082-7

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