ホージャ

ホージャ (Khoja)とは

ホージャ（khoja, خواجه, خواجا）は、中央アジアから南アジアにかけてのイスラム圏で用いられる称号です。ペルシア語では「ハージャ」と発音され、漢語では和卓、霍卓と表記されます。

語源と意味の変遷

ホージャの語源は、8世紀末から10世紀末にかけて中央アジア、イランを支配したサーマーン朝の官職名に由来し、「貴族」を意味していました。サーマーン朝では、宰相は「大ホージャ」と呼ばれていました。ペルシア語では本来、貴族、紳士、富裕な商人など、社会的に尊敬される身分の人間を指す称号として使われていましたが、現代ペルシア語では宦官を意味する言葉となっています。

オスマン帝国、トルコ共和国では敬称、先生を意味する言葉として使われています。

中央アジアにおけるホージャ

中央アジアでは、ホージャは4人の正統カリフの子孫を指す称号として用いられ、しばしばサイイドと混同されました。具体的には、アブー・バクル、ウマル・イブン・ハッターブの子孫、ウスマーンとアリーの子孫のうち、ムハンマドの娘を母に持たない家系の人物を指してホージャという尊称が使われました。その後、カリフの子孫ではないスーフィー（イスラム世界の聖者）も、ホージャの尊称で呼ばれるようになります。

12世紀から13世紀にかけて中央アジアで活躍したスーフィー、グジュダヴァーニーが建てた教団は、ホージャの複数形であるホージャガーン教団と呼ばれました。14世紀末にバハー・アッディーン・ナクシュバンドが教団の指導者となると、ホージャガーン教団はナクシュバンディー教団と呼ばれるようになります。

16世紀から17世紀にかけて、ナクシュバンディー教団の指導者アフマド・カーサーニー（マフドゥミ・アザム）の子孫がカシュガルを訪れ、この地で支持を広げました。ヤルカンド・ハン国の寄進を受けて財力を増し、宗教的権威はヤルカンド・ハンの王権を凌ぐほどになります。カシュガル・ホージャの中にはハンに即位し、「ハーン・ホージャ」と呼ばれる者も現れました。教団はカシュガルのアーファーキーヤ（白山党）とヤルカンドのイスハーキーヤ（黒山党）に分かれて正統性を争い、ハン国の王位継承問題に介入しました。

17世紀にジュンガル、18世紀に清が侵攻すると、両都市のホージャは攻撃を受け、1760年にカシュガル・ホージャ家は清によって打倒されました。

カシュガル・ホージャ家の生き残りはコーカンド・ハン国に逃れ、保護を受けました。コーカンド・ハン国は交易の拠点であるカシュガルを統制下に置くため、カシュガル・ホージャを保護し、ホージャたちの軍事作戦を支援しました。ホージャ家の人間はしばしば清の支配下に置かれていたカシュガルに侵入を試みましたが、いずれの軍事作戦も失敗に終わりました。1864年にコーカンド・ハン国のヤクブ・ベクはホージャ家のブズルグを擁立してカシュガルを攻撃し、翌1865年にブズルグを殺害して独立政権を築きました（ヤクブ・ベクの乱）。

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