Fixed Mobile Convergence

Fixed Mobile Convergence（FMC）とは

Fixed Mobile Convergence（フィックスド・モバイル・コンバージェンス、FMC）は、「固定網と移動網の収束」を意味し、有線通信と移動体通信を組み合わせた電気通信サービスのことです。

狭義には、有線通信と移動体通信の両方のサービスを、同一の端末で利用者に提供する形態を指します。広義には、電気通信事業者が提供するサービス形態として、有線通信と移動体通信が密接に連携しているものまで含まれます。

FMCが注目される背景

2000年代後半から、FMCは以下の背景により注目されるようになりました。

携帯[[電話]]の普及による固定[[電話]]の顧客離れを緩和したいというニーズ
移動体通信に利用できる周波数帯域が有限であるため、トラフィック密度の高い場所で別の通信手段を提供したいというニーズ
電気通信事業者間の激しい顧客獲得競争を勝ち抜くための手段として

FMCのサービス例

FMCでは、次のようなサービスが考えられています。

1つの電話番号で、あらゆる電気通信サービスを利用できる。
無線LAN、Bluetooth、UWBなどを利用して固定通信網に接続できる場合は、安価で高速なサービスを提供する。
移動時にも、ほぼ同一のサービスを移動体通信や無線アクセスで利用できる。
サービスの利用料金は、1つの請求書にまとめて請求する。また、複数サービスを契約した際の割引料金を設定することが多い。

サービス卸売によるFMC

最広義のFMCとして、特に日本では以下のような形態もFMCと呼ばれることがあります。

電気通信事業者（NO）が提供する固定電気通信サービスを、携帯[[電話]]事業者（MNO）が卸売を受けて、仮想固定通信事業者（FVNO）として提供する形態。
携帯[[電話]]事業者（MNO）が提供する移動体通信サービスを、電気通信事業者（NO）が卸売を受けて、仮想[[移動体通信事業者]]（MVNO）として提供する形態。

前者の例としては「ドコモ光」、後者の例としては「J:COM MOBILE」などがあります。MVNOやFVNOが独自の組み合わせでFMCを行う場合もありますが、これは一般的にはFMCとは呼ばれません。

英語圏では、この形態は「ダブルプレイ」と呼ばれます。固定通信と移動体通信に放送を加えると「トリプルプレイ」となります。

日本におけるFMCの状況

仮想[[移動体通信事業者]]との組み合わせ

日本では2015年2月、NTT東日本・NTT西日本からの光回線サービスの卸売が開始され、ISPとMVNOが提携したFMCサービスが提供されるようになりました。

ドコモ光: NTTドコモの携帯[[電話]]との組み合わせ。
SoftBank光: ソフトバンクの携帯[[電話]]との組み合わせ。
OCN 光: NTTコミュニケーションズのOCN モバイル ONE・050plusとの組み合わせ。
IIJmioひかり: インターネットイニシアティブのIIJmioとの組み合わせ。
J:COM MOBILE: ジュピターテレコムがauのLTE回線を利用し、ケーブルテレビとの統合サービスとして提供。

携帯[[電話]]の法人向け定額制

ソフトバンクモバイルの「ソフトバンクモバイルオフィス」では、登録された特定グループの携帯[[電話]]間や、携帯[[電話]]から固定[[電話]]への音声通話定額制が適用されます。ただし、スマートフォンの音声通話定額プランの普及により、社内固定[[電話]]との連携の需要は減少傾向にあります。

自営対応端末との組み合わせ

PHSの自営対応端末を使用し、企業や家庭の内線ではコードレス[[電話]]の子機として、屋外ではPHS事業者の基地局に接続して公衆PHS回線を利用した音声通話が可能です。

また、携帯[[電話]]やPHS端末に無線LANを搭載し、VoWLAN（Voice over Wireless LAN）としてSIPなどによりモバイルセントレックスサービスに対応したものも存在します。

NTTドコモのPASSAGE DUPLEサービス、ビジネスmoperaIPセントレックスサービス（N900iL、N902iL、F1100、N906iLなど、2004年より一部法人向けに提供）
個人向けIPセントレックスサービス「ホームU」（2008年6月よりNTTドコモが提供開始）
au E02SA（2006年より一部法人向けに提供）
加賀電子、ネットツーコムの端末「WiPCom」（VoWLANに加え、CFカード型PHS端末を搭載し、PHS回線による通常の音声通話も可能）
W-ZERO3（VoWLANに加え、W-SIM型カード型PHS端末を搭載し、PHS回線による通常の音声通話も可能なスマートフォン）

フェムトセルとの組み合わせ

フェムトセルを設置して内線[[電話]]網と接続し、一般の携帯[[電話]]端末を利用します。内線通話エリア外に端末が移動した場合に自動的に転送するオプションもあります。

KDDI「OFFICE WISE」
NTTドコモ「OFFICEED」
ソフトバンクも提供予定

電話番号計画

FMC向けの電話番号計画では、非地理的番号である0X0番号を使用することになりました。

FMCの課題点

技術面

FMCには、次のような技術的な課題があります。

デュアルモード端末: 移動体通信（無線アクセス・携帯[[電話]]）と無線LANやBluetoothなどを利用可能時間を長くした、小型携帯端末を安価に大量に提供する技術の開発
Next Generation Network: Internet Protocolを利用した有線通信と移動体通信を統合した次世代電話網の標準化と相互接続の実現
電波帯域の有効利用: 移動体通信に適した周波数帯域が限られているため、現在使用している固定無線通信の移転先の技術開発。また、未使用の周波数の活用法や、他の無線局との周波数帯域の共用技術の開発

利用面

FMCの利用においては、以下の問題が起こる可能性が指摘されており、対策が検討されています。

かける先の電話番号と、実際にかかる回線や料金との間で、認識のずれが発生する（例：固定回線にかけたと思ったら、携帯[[電話]]宛の料金が課金されるなど）。
地理的電話番号を利用した場合、かける先の国際電話番号や市外局番と、実際にかける先の相手がいる場所との間で認識のずれが発生する（例：アメリカの固定[[電話]]にかけたと思ったら、実際には相手は携帯[[電話]]で別の国にいるなど）。

関連事項

無線アクセス
携帯[[電話]]
PHS
光通信
FTTH
FTTx
ケーブルテレビ
固定[[電話]]
IP電話
日本のIP[[電話]]
Voice Call Continuity
* IPマルチメディアサブシステム

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