ボイシ (軽巡洋艦)

軽巡洋艦ボイシ（USS Boise, CL-47）

ボイシは、アメリカ海軍のブルックリン級軽巡洋艦の6番艦として建造されました。艦名はアイダホ州の州都ボイシに由来します。太平洋戦争では、その機動力を活かして各地を転戦、数々の海戦に参加しました。

艦歴

戦前

ボイシは1936年12月3日に起工、1938年8月12日に就役しました。1939年には整調巡航を行い、その後カリフォルニア州サンペドロで第9巡洋艦分艦隊に配属されました。1941年11月には、フィリピンのマニラへ向かう輸送船団の護衛任務に就きました。この際、第六艦隊旗艦の軽巡洋艦「香取」と遭遇、緊迫した状況となりましたが、煙幕を張って輸送船団を隠し、事なきを得ました。

第二次世界大戦

開戦から1942年中旬

1941年12月8日の太平洋戦争開戦時、ボイシはセブ島沖にいました。日本軍の南方作戦開始により、アジア艦隊は蘭印やオーストラリア方面へ退避。ボイシは重巡洋艦ヒューストンと合流し、東インド諸島方面へ展開しました。1942年1月、日本軍の蘭印作戦開始に伴い、バリクパパン沖へ進出するも、セプ海峡で暗礁に座礁し、戦線を離脱しました。

応急修理後、船団護衛任務に従事、7月にはガダルカナル島上陸作戦支援のため、日本軍勢力圏内を巡航しました。その後も、フィジーやニューヘブリディーズ諸島への輸送船団護衛、ガダルカナル島への上陸部隊支援などを行いました。

サボ島沖海戦

1942年10月11日から12日にかけて、ボイシはサボ島沖海戦（エスペランス岬沖海戦）に参加しました。この海戦で、第64任務部隊の一員として日本海軍の巡洋艦部隊と交戦、激しい砲撃戦を繰り広げました。ボイシは前部主砲群に直撃弾を受け大破、多数の死傷者を出しましたが、ソルトレイクシティの活躍により危機を脱しました。その後、応急修理を経てフィラデルフィア海軍造船所へ回航、大規模な修理が行われました。

1943年：ヨーロッパ戦線

修理完了後、1943年6月には地中海へ転戦、シチリア島上陸作戦やイタリア本土上陸作戦を支援しました。

1944年：ニューギニア戦線

1944年、ボイシは太平洋戦線に復帰し、ニューギニア島北部沿岸での作戦に参加しました。マッカーサー大将指揮下の第7艦隊に所属し、各地への艦砲射撃や上陸作戦支援に従事。ビアク島攻防戦では、サボ島沖海戦で戦った重巡洋艦「青葉」と同じ海域で行動しました。渾作戦では、駆逐艦部隊を率いる日本軍と交戦し、小破させる戦果を挙げました。その後も、ヌムフォア島やサンサポア岬などの上陸作戦を支援しました。

フィリピン戦線

レイテ島上陸作戦を支援したボイシは、10月25日未明のスリガオ海峡海戦に参加。西村艦隊を迎え撃ち、戦艦「山城」の撃沈に貢献しました。また、駆逐艦「朝雲」を撃沈する戦果を上げました。その後、ミンドロ島上陸作戦や礼号作戦への迎撃行動に参加しました。

1945年以降

1945年に入ると、ルソン島上陸作戦、バターン半島・コレヒドール島占領作戦、ミンダナオ島上陸作戦に参加しました。ルソン島上陸作戦では、マッカーサー元帥がボイシを臨時旗艦として使用しました。その後、ボルネオの戦いに参加し、終戦を迎えました。ボイシはその後、オーバーホールと訓練を経て東海岸へ移動し、1946年7月1日に退役しました。

アルゼンチン海軍時代

1951年、ボイシはアルゼンチンへ売却され、ヌエベ・デ・フリオ（ARA Nueve de Julio, C-5）と改名されました。就役後、レーダーの装備とヘリコプターの搭載が行われました。1955年にはクーデター鎮圧のため砲撃を行うなど、その後も任務に就き、1978年に退役しました。部品は姉妹艦に流用された後、1983年に解体されました。

栄典

ボイシは、第二次世界大戦の戦功により、11個の従軍星章のほか、数々の勲章を授与されました。

戦闘交戦リボン
アメリカ防衛軍務勲章
アメリカ戦役勲章
アジア・太平洋戦役勲章
ヨーロッパ・アフリカ・中東戦役勲章
第二次世界大戦戦勝勲章
フィリピン殊勲部隊章
フィリピン防衛勲章
* フィリピン解放勲章

ボイシは、その長い戦歴の中で幾多の苦難を乗り越え、その名を歴史に刻みました。

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