マリーナ (小惑星)

小惑星マリーナの詳細解説

小惑星マリーナ（1202 Marina）は、小惑星帯の最外縁部に位置するヒルダ群に属する小惑星です。その特徴的な軌道と物理的性質について詳しく見ていきましょう。

発見の経緯

マリーナは、1931年9月13日にソビエト連邦の天文学者グリゴリー・ネウイミンによって、クリミア天体物理天文台で発見されました。驚くべきことに、そのわずか2日後には、ドイツの天文学者カール・ラインムートも独立して発見しています。しかし、小惑星センターは、最初の発見者であるネウイミンのみを公式に認定しました。

さらに興味深いことに、マリーナは1924年11月にはすでにケーニッヒシュトゥール天文台で観測されていました。この観測記録は「A924 WG」として残されており、公式な発見よりも6年以上前の観測であったことが分かります。観測弧も、1925年1月にハイデルベルクで開始されており、その長い観測の歴史が伺えます。

軌道と分類

マリーナは、ヒルダ群に属する小惑星で、小惑星帯の最も外側に位置しています。このヒルダ群は、木星と2:3の軌道共鳴状態にあり、太陽から3.3～4.7天文単位の範囲を、約7年12ヶ月（2,920日）かけて公転します。軌道離心率は0.17で、黄道に対する軌道傾斜角は3°です。これらの特徴的な軌道要素が、マリーナの分類を決定づけています。

物理的性質

マリーナは、トーレンの分類においてP型小惑星に分類されます。これは、表面組成が有機物に富み、暗い色をしていることを示唆しています。このような特徴は、マリーナが原始的な小惑星であることを示唆しており、太陽系形成初期の情報を保持している可能性があります。

自転周期

1990年代のヨーロッパの天文学者によるヒルダ群の観測で、マリーナの光度曲線が得られました。この光度曲線の分析から、マリーナは約9.45時間ごとに光度が0.29等級変化することが判明しました。さらに、2010年にはパロマートランジエントファクトリーによる観測で、9.571時間ごとに光度が0.09等級変化するという、ほぼ同様の結果が得られました。これらの観測から、マリーナは比較的ゆっくりと自転していることが分かります。

直径とアルベド

赤外線天文衛星IRASと日本のあかりによる観測結果から、マリーナの直径はそれぞれ54.93kmと63.76kmと推定されています。また、表面アルベドは0.0337と0.026という低い値を示しています。Collaborative Asteroid Lightcurve Link(CALL)では、絶対等級10.28に基づき、アルベドを0.045、直径を55.07kmと算出しています。これらの観測結果から、マリーナは比較的暗く、表面が黒っぽい天体であることが分かります。

命名の由来

マリーナは、1931年から1942年までサンクトペテルブルク近郊のプロコヴォ天文台で働いていた科学協力者、マリーナ・ラヴロヴァ＝ベルク（1898年-1943年）にちなんで命名されました。彼女は若くして亡くなりましたが、その功績を称え、この小惑星に名前が付けられました。

参考文献

Asteroid Lightcurve Database (LCDB), query form (info)
Dictionary of Minor Planet Names, Google books
Asteroids and comets rotation curves, CdR – Observatoire de Genève, Raoul Behrend
Discovery Circumstances: Numbered Minor Planets (1)-(5000) – Minor Planet Center
* マリーナ - JPL Small-Body Database

これらの参考文献は、マリーナに関するより詳細な情報を提供しています。

まとめ

小惑星マリーナは、ヒルダ群に属する興味深い小惑星であり、その軌道、物理的性質、自転周期など、多くの点で注目されています。今後の観測によって、さらに多くの情報が得られることが期待されます。

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