ミスター・モト

ミスター・モト：日系プロレスラーのパイオニア

ミスター・モト（本名：Masaru "Charlie" Iwamoto）は、1915年8月11日にハワイで生まれた日系アメリカ人プロレスラーです。そのキャリアを通じて、彼は日米のプロレス界に大きな影響を与えました。この記事では、ミスター・モトの生涯、プロレスラーとしての活躍、そして引退後の活動について詳しく解説します。

生い立ちとハワイ相撲

熊本出身の父と沖縄出身の母のもとに生まれたミスター・モトは、幼少期からコーヒー園で働きながら、ハワイの日系社会で盛んだった相撲に打ち込みました。彼は「不知火」という名でハワイ相撲の横綱として活躍し、その才能を発揮しました。

プロレスデビューとアメリカ本土進出

1939年、ミスター・モトはプロモーターの誘いを受け、ヤング・シラヌイ（Young Shiranuhi）のリングネームでプロレスデビューを果たしました。チャーリー・シラヌイ（Charley Shiranuhi）とも名乗り、1940年代はハワイを主戦場に活動しました。1950年からは、ミスター・モトのリングネームでアメリカ本土に本格的に進出し、その名を轟かせました。リングネームは小説『Mr. Moto』からヒントを得たもので、当初は小説の主人公のようなコスチュームも検討されましたが、最終的には伝統的なオリエンタルスタイルである「田吾作タイツと下駄」という出で立ちで試合に臨みました。

タッグ王座獲得と日本マット参戦

ミスター・モトは、デューク・ケオムカやキンジ渋谷といった日系レスラーとタッグを組み、NWAテキサス・タッグ王座やNWA南部タッグ王座など、数々のタイトルを獲得しました。シングルプレイヤーとしても、ロサンゼルスでインターナショナルTV王座を争うなど、活躍を見せました。1964年4月には、日本プロレスの『第6回ワールド・リーグ戦』に初参戦し、日本でもその名を知られるようになりました。彼はリーグ戦に出場する傍ら、外国人レスラーのブッキングも担当し、日本プロレスを支えました。

引退後の活動と日本プロレスとの関わり

引退後、ミスター・モトはWWAおよびNWAハリウッド・レスリングのブッカーとなり、日本プロレスの外国人招聘窓口として、力道山亡き後の日本プロレスをバックアップしました。アントニオ猪木や坂口征二をはじめとする海外武者修行に出た日本プロレスのレスラーは、彼の采配によって各テリトリーにブッキングされ、「日本プロレスのアメリカ支局長」とも呼ばれました。

死去

1991年7月6日、ミスター・モトは心臓弁膜症のため75歳で亡くなりました。彼は、日系プロレスラーとして、その悪役ギミックと卓越したブッキング手腕で、日米のプロレス界に大きな足跡を残しました。

得意技

ジュードー・チョップ：掌底打ちのようなフォームで相手の喉元を叩きつけるフィニッシュ・ホールド。
反則攻撃：髪の毛を掴んで引き倒す、チョーク、金的蹴り、サミングなど、姑息な反則行為で悪役ぶりを際立たせた。
キーロック
オリエンタル・クロー

獲得タイトル

NWAテキサス・ヘビー級王座：2回
NWAテキサス・タッグ王座：2回（w / デューク・ケオムカ）
NWA世界タッグ王座（テキサス東部版）：1回（w / デューク・ケオムカ）
NWA南部タッグ王座（ミッドアトランティック版）：4回（w / キンジ渋谷×2、デューク・ケオムカ×2）
NWAインターナショナルTV王座：3回
NWA世界タッグ王座（ミッドアメリカ版）：3回（w / Tor Yamato）
NWA太平洋岸タッグ王座：1回（w / ミツ荒川）
NWAハワイ・タッグ王座：1回（w / Nikita Mulkovich）
インターナショナルTVタッグ王座：3回（w / Hans Hermann、Henry Lenz、フレッド・ブラッシー）
WWA USタッグ王座：2回（w / ベアキャット・ライト、大木金太郎）
* WWA世界タッグ王座：1回（w / フレッド・ブラッシー）

ミスター・モトは、プロレスラーとしてだけでなく、ブッカーとしてもその才能を発揮し、日米のプロレス界の発展に大きく貢献しました。彼の功績は、これからも語り継がれることでしょう。

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