モンタナ (ブルガリア)

モンタナ

モンタナ（ブルガリア語: Монтана）は、ブルガリア北西部に位置する町であり、モンタナ州の州都として、またモンタナ基礎自治体の中心として機能しています。地理的には、ドナウ川から南へ約50キロメートル、ヴラツァからは北西へ約40キロメートル、そしてセルビアとの国境からは東へ約30キロメートルという位置にあります。

地理と気候

モンタナは、オゴスタ川のほとりに開けた町で、壮大なバルカン山脈の北側に広がっています。町の西側と南側は、高地に囲まれた地形となっています。

気候は典型的な大陸性気候で、夏は暑く、冬は厳しい寒さに見舞われます。年間の気温で見ると、1月の平均気温は約摂氏マイナス2度まで下がり、一方、7月の平均気温は約摂氏25度となります。近年の傾向として、20世紀末から21世紀初頭にかけては、夏の最高気温が摂氏35度から40度に達することは比較的稀になっています。

歴史

モンタナとその周辺地域には、長い歴史があります。

ローマ時代

紀元前29年、この地方はローマ帝国の支配下に入り、属州である上モエシアの一部となりました。紀元160年頃になると、かつてトラキア人が集落を築いていた場所に、帝国の軍事拠点が設置されました。この拠点は「ムニキピウム・モンタネンシウム（Municipio Montanensium）」として都市の地位を与えられ、発展を遂げます。ローマ式の都市開発が進められ、この地域ではラキアリア（現在のアルチャル）に次ぐ重要な都市へと成長しました。町を見下ろす丘の上には強固な要塞が築かれたほか、公共施設、居住区、浴場、劇場などが整備されました。モンタネンシウムは典型的なローマ都市として、ローマ化された地元の人々に加え、イタリア系、アナトリア系、そしてギリシャ系の住民が共存する多文化的な様相を呈しました。町の経済は、イタリア系の大地主が所有する別荘や広大な土地が基盤となり、地元住民は農業生産物やオゴスタ川渓谷で採れる黄金の取引で生計を立てていました。特にギリシャ系の住民は職人や金融業に従事し、町の経済活動において重要な役割を担いました。この時代、町の守護神としてディアナとアポロが崇拝されていました。

中世

5世紀（440年頃から490年頃）にかけて、アッティラ率いるフン族やゴート族による侵攻がブルガリア北西部を襲い、町は大きな被害を受けました。その後、スラヴ人やアヴァール人の侵入が続き、この地のローマ文明の痕跡は完全に消滅しました。スラヴ人はこの地に定住し、町を「クトロヴィツァ（Кутловица）」と呼ぶようになります。第一次および第二次ブルガリア帝国の時代には、クトロヴィツァは徐々に復興し、地方の中心地としての機能を再び担うようになりました。

オスマン帝国統治時代

オスマン帝国による征服後、クトロヴィツァは破壊され、荒廃しました。しかし、1450年から1688年にかけて、トルコ人がこの地に再入植し、町は再び息を吹き返します。戦略的に重要な地点となったクトロヴィツァは、典型的なオリエント風の町として繁栄期を迎えます。モスクや新たな要塞が建設され、多くの建築物が建てられました。1688年に近郊で発生したチプロフツィ蜂起がオスマン帝国によって鎮圧された後、町の性格はさらにトルコ人の地域としての色彩を強めました。この時代を通じて、古代ローマ時代の浴場跡などは顧みられず放置されていました。

近現代

ブルガリアがオスマン帝国から解放された後、クトロヴィツァには多くの人々が移り住み、町は経済的に大きく発展しました。近代的なインフラ整備が進み、変電所、鉄道駅、郵便局、病院が次々と設置されました。さらに、市民が集まる場としての市やチタリシテ（コミュニティセンター兼図書館）も開設され、町の文化的な生活も豊かになりました。

呼称の変遷

町の名前は時代によって幾度か変更されています。

中世にスラヴ人によって「クトロヴィツァ（Кутловица）」と呼ばれました。
ブルガリア解放後の1890年、ブルガリア大公フェルディナントにちなんで「フェルディナンド（Фердинанд）」と改称されました。
1945年、共産主義体制下で共産主義活動家フリスト・ミハイロフにちなみ「フリスト・ミハイロフ（Христо Михайлов）」となりました。
翌1946年には「ミハイロヴグラト（Михайловград）」に再改称されました。
共産主義体制崩壊後の1993年、古代ローマ時代の名称に敬意を表し、現在の「モンタナ（Монтана）」という名前に戻されました。

その他

姉妹都市: スロバキアのバンスカー・ビストリツァ、ウクライナのジトーミル、ドイツのシュマルカルデン、セルビアのピロト、スペインのサルバティエラ/アグライン、ロシアのジェルジンスキーなど、複数の都市と姉妹都市提携を結んでいます。
* 関連名称: 南極大陸のサウス・シェトランド諸島、リヴィングストン島にあるモンタナ崖（Montana Bluff）は、このブルガリアのモンタナにちなんで名付けられたものです。

モンタナは、古代から現代に至るまで、多様な歴史と文化が重なり合うブルガリア北西部の重要な都市として、その存在感を示しています。

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