モービル (軽巡洋艦)

軽巡洋艦モービル (USS Mobile, CL-63) の生涯

アメリカ海軍の軽巡洋艦「モービル」は、クリーブランド級軽巡洋艦の一隻として、その名が示す通り、アラバマ州モービルに因んで命名されました。この艦は、同名艦としては3代目にあたります。

起工から太平洋へ

1941年4月14日、バージニア州ニューポート・ニューズ造船所にて起工。1942年5月15日にハリー・T・ハートウェル夫人によって命名・進水し、1943年3月24日、チャールズ・J・ウィーラー大佐の指揮下で就役しました。チェサピーク湾での調整とカスコ湾での短期訓練後、太平洋へ向かい、1943年7月23日に真珠湾へ到着、一ヶ月の訓練を経て、8月22日に西へ出航しました。

太平洋戦争での活躍

「モービル」は、太平洋戦争において数々の重要な作戦に参加しました。

南鳥島攻撃: 1943年8月31日、第15任務部隊と合流し、南鳥島を攻撃。
ギルバート諸島攻略戦: 9月18日にはタラワ島攻撃部隊の護衛、10月にはウェーク島攻撃部隊の護衛に従事。
ブーゲンビル島沖での支援: 11月8日、ブーゲンビル島沖で増援部隊の上陸を支援。
タラワ島攻略戦: 11月20日から28日までベシオ島上陸作戦を支援。
マーシャル諸島への攻撃: 12月にはクェゼリン環礁、ウォッゼ環礁への空襲に参加し、その後サンディエゴへ移動。
マーシャル諸島攻略戦: 1944年1月には、ウォッゼ環礁への砲撃、クェゼリン環礁への攻撃、ロイ＝ナムル島沖での艦砲射撃や空母護衛任務に従事。
カロリン諸島への攻撃: 2月にはトラック島への空襲「ヘイルストーン作戦」に参加し、日本軍の戦力を大きく削ぎました。その後、マリアナ諸島への空襲にも参加。
ニューギニア戦線への支援: 3月にはエミラウ島上陸を支援。
パラオ諸島、ヤップ島、ウォレアイ環礁への攻撃: 3月末から4月初旬にかけて実施。
ホーランジアの戦い: 4月にはアイタペ、フンボルト湾、タナメラ湾への上陸を支援。
トラック島、サタワン環礁、ポンペイ島への攻撃: 4月下旬から5月初旬にかけて実施。
マリアナ沖海戦: 6月19日の海戦では対空砲火で僚艦を護衛。艦載機は日本潜水艦の観測や友軍機パイロットの救助に貢献。
小笠原諸島への攻撃: 6月末から7月初旬にかけて実施。
西カロリン諸島への攻撃: 7月下旬にヤップ島、ウルシー環礁、ファイス島を攻撃。
スカベンジャー作戦: 8月上旬には、水上砲戦で駆逐艦「松」と輸送船「利根川丸」を撃沈、父島へ艦砲射撃を実施。
フィリピン戦役: その後2ヶ月間は、ビサヤ諸島およびミンドロ島を攻撃する空母部隊の護衛を担当。

回天による攻撃

1944年11月20日、ウルシー環礁停泊中、回天特別攻撃隊「菊水隊」による攻撃を受けました。幸いにも、魚雷は「モービル」をかすめ、隣接する軽巡洋艦「ビロクシ」との間の海面で爆破されました。これは日本軍の潜水艦「伊47」から発進した回天による攻撃でした。

沖縄戦と終戦

1944年12月26日、「モービル」はアメリカ西海岸へ向け出航し、オーバーホールと改修を受けました。1945年3月29日にはウルシー環礁に戻り、その後沖縄へ移動。4月5日には、日本軍の稜堡への攻撃を開始しました。その後、太平洋艦隊揚陸部隊に配属され、火力支援、対空、対潜水艦哨戒に従事しました。終戦までフィリピン訓練グループでの作戦活動に携わりました。

終戦後

終戦後の1945年8月20日、「モービル」はサンペドロ湾を出航し、沖縄や日本本土での占領支援任務に従事しました。連合軍捕虜の輸送にも携わり、その後、海兵隊と海軍兵員を乗せてサンディエゴへ向かい、12月2日に到着しました。マジック・カーペット作戦に従事した後、不活性化のためピュージェット・サウンド海軍造船所に入りました。

1947年5月9日、「モービル」は退役し、ブレマートンの予備役艦隊で保管されましたが、1959年3月1日に除籍され、同年12月16日にスクラップとして売却、1960年1月19日に解体されました。

受章

「モービル」は、第二次世界大戦での戦功により、11個の従軍星章を受章しました。

「モービル」は、その短い生涯の中で、太平洋の激戦を戦い抜き、数多くの作戦に貢献した、まさに勇猛果敢な軽巡洋艦でした。

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