ヤマニシ

株式会社ヤマニシについて

株式会社ヤマニシは、宮城県石巻市に本拠を置く造船会社で、1920年に創業しました。最初は山西造船鉄工所としてスタートし、1973年に現本社工場の操業を始めました。当初は漁船の建造が主であり、昭和40年代までは多数の漁船を手がけていました。特に1960年代には「北転船のヤマニシ」という名で知られ、オホーツク海やベーリング海で使用される堅牢な設計の船を得意としていました。しかし、遠洋漁業の衰退による需要の変化に伴い、1994年以降は漁船の新規建造が行われなくなりました。

1975年からは東南アジア向けに貨物船の建造を開始し、1980年代からはフェリーやRO-RO船の建造にも力を入れるようになりました。特に、2003年には他の造船所が受注を渋った19,000DWT型のばら積み貨物船を手がけ、結果として20隻以上のシリーズを完成させました。また、需要に応じてLPG船も受注し、外航船へも進出しました。

東日本大震災と再建

しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災はヤマニシに大きな影響を与えました。津波が工場に到達し、設備は完全に破壊され、創業以来の重要な図面や顧客情報が流失してしまいました。当時建造中だった2隻のばら積み貨物船は流出し、損傷を受ける事態となりました。全従業員は無事だったものの、経営の立て直しには巨額の資金が必要となることが明らかでした。約170億円の再建資金が必要であり、七十七銀行や企業再生支援機構の協力を得て、事業再生に取り組みました。

さらに、震災後の2012年には企業再生支援機構から79億円の債権放棄を受け、16億円の復旧整備補助金が経済産業省からも提供されました。また、三菱商事復興支援財団からの融資も受け、修繕工場の復旧が進められました。2012年8月には新造船部門を再開し、11月には震災後初の漁業実習船の進水式を行いました。

しかしながら、復旧後の受注は思うように進まず、財務状況が徐々に悪化しました。2020年1月には再度、会社更生法の適用を申請するに至り、現在も厳しい状況が続いていると言えます。2019年の売上は約111億7600万円で、2010年のピーク時の6割に満たない結果となりました。

建造設備と活動内容

ヤマニシの本社工場は石巻港の西側に位置し、敷地面積は245,108平方メートルに及びます。ここには、建造修理兼用の1号船台と2号船台、建造専用の3号船台、修理用のドライドック、艤装岸壁、修繕岸壁及び各種工場が完備されています。

近年、受注状況や財務状況は厳しいものの、ヤマニシは地域の重要な造船業者として存続し続けており、今後の復興と発展が期待されています。

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