ユキザサ

ユキザサ（雪笹）

ユキザサ（学名: Maianthemum japonicum）は、ユリ科（APG植物分類体系ではキジカクシ科）に属する多年草です。早春の山野にひっそりと咲く姿は、清楚で趣があります。

名称の由来

和名の由来は、白い花を雪に、葉を笹に見立てたことによります。アイヌ語では根を「ペペロ」と呼びます。その他、オニユキザサ、ササナ、アズキナ、スズメユリなどの別名も存在します。

分布と生育環境

ユキザサは、日本国内では北海道から九州まで広く分布し、山地の落葉広葉樹林の林床に生育します。国外では、朝鮮半島、中国大陸、ウスリー、アムールなどにも分布しています。

特徴

地下に長く伸びる根茎を持ち、そこから高さ20～70cmの茎を伸ばします。葉は茎の上部に互生し、広楕円形から卵状長楕円形で、長さは6～15cm程度です。葉の表面には粗い毛が生えています。

花期は5～7月頃で、茎の先端に円錐状の花序をつけ、多数の白い小さな花を咲かせます。果実は球形の液果で、最初は緑色ですが、熟すと赤色になります。

利用

ユキザサの若芽は山菜として利用されます。採取時期は4～5月頃で、葉がまだ巻いている頃が適しています。茹でて水にさらし、おひたし、和え物、炒め物、煮物、汁物、山菜ご飯など、様々な料理に利用できます。茹でるとアズキのような香りがし、ほのかな甘みと滑らかな口当たりが楽しめます。

注意点

ユキザサの若芽は、毒草であるホウチャクソウと似ているため、注意が必要です。ユキザサは花芽をつけながら成長するため、葉の先端から蕾がのぞいていることを確認してから採取すると安全です。

類似種

ユキザサには、ハルナユキザサ、ヤマトユキザサ、ヒロハユキザサなどの類似種が存在します。これらの種は、葉の形や花のつき方などにわずかな違いが見られます。

参考文献

金田初代、金田洋一郎（写真）『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、110 - 111頁。ISBN 978-4-569-79145-6。
北村四郎他総監修「朝日百科『世界の植物』8」朝日新聞社、1978年。
佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本I単子葉類』平凡社、1982年。
牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』北隆館、2008年。
大場秀章編著『植物分類表（初版第3刷訂正入）』アボック社、2011年。
門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』山と溪谷社、2013年。

関連項目

ハルナユキザサ
ヤマトユキザサ
* ヒロハユキザサ

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