ライアン・ロングウェル

ライアン・ロングウェル：NFLを彩った名プレースキッカーの軌跡

ライアン・ロングウェル（Ryan Longwell, 1974年8月16日 - ）は、ワシントン州シアトル出身の元アメリカンフットボール選手。NFLのグリーンベイ・パッカーズ、ミネソタ・バイキングス、シアトル・シーホークスでプレースキッカーとして活躍しました。

生い立ちと高校時代

シアトルで生まれたロングウェルは、ピュアラップで育ち、後にオレゴン州ベンドへ移住。幼少期はシアトル・シーホークスのファンで、ジム・ゾーンやスティーブ・ラージェントらに憧れていました。ピュアラップの中学校時代には、後のNFL選手デイモン・ヒュアードが彼のキックのホールダーを務めていました。ベンドの高校時代には、プレースキッカーと控えQBを兼任し、野球では三塁手としてプレーしました。

大学時代

1993年、カリフォルニア大学バークレー校に進学し、プレースキッカーとパンターを担当。4年次には、パンターとしてPac-10のオールチームに、キッカーとしてセカンドチームに選出されるなど、その才能を発揮しました。

NFLキャリア

1997年、当初はサンフランシスコ・49ersでロースター入りを目指しましたが、ウェーバーにかけられ、グリーンベイ・パッカーズに入団。同年、パッカーズはドラフト3巡でブレット・コンウェイを指名していましたが、ロングウェルはポジション争いを制し、レギュラーの座を掴みました。

第32回スーパーボウルでは、デンバー・ブロンコスに敗れたものの、1FG、3PATを成功させています。

2005年、第14週のデトロイト・ライオンズ戦では、オーバータイムに決勝FGを決め、チームを勝利に導きました。

2006年3月、フリーエージェントとなったロングウェルは、パッカーズのライバルチームであるミネソタ・バイキングスと契約。バイキングス加入2試合目のカロライナ・パンサーズ戦では、オーバータイムの決勝FGを含む3本のFG、さらにフェイクFGからの16ヤードTDパスを成功させ、チームの全得点16点を叩き出し、勝利に大きく貢献しました。

2007年11月14日のサンディエゴ・チャージャーズ戦では、58ヤードのFGを狙うも失敗。エンドゾーンに転がったボールを相手選手のアントニオ・クロマティに拾われ、109ヤードのリターンTDを献上してしまいました。

2008年、第17週のニューヨーク・ジャイアンツ戦では、試合終了間際に50ヤードのFGを成功させ、チームを20-19で勝利に導き、NFC北地区優勝を決定づけました。この活躍により、NFC週間MVPスペシャルチーム部門に選出されています。

2009年にはFG成功率92.2%（28回中26回成功）、2010年には94.4%（18回中17回成功）という高い成功率を記録しました。

2011年、ロックアウト終了後にフリーエージェントとなりましたが、バイキングスと4年間1,200万ドルの契約を締結。しかし、この年はFG成功率が78.6%（28回中22回成功）と成績を落としています。また、キックオフの位置が30ヤード地点から35ヤード地点に変更されたことで、キックオフでのタッチバック数は自己ベストの19回を記録したものの、NFL全体では28位タイに留まりました。

1997年9月1日から2012年1月1日まで、240試合連続出場という記録を打ち立てました。これはNFL歴代7位タイ、キッカーとしてはモーテン・アンダーセンに次ぐ歴代2位の記録です。

2012年のNFLドラフトでバイキングスがブレア・ウォルシュを指名すると、同年5月にロングウェルは解雇されました。

2013年1月8日、シアトル・シーホークスと契約。これは、ふくらはぎを負傷したスティーブン・ハシュカの代役を探していたチームが、彼のプレーオフ経験を評価した結果でした。

ブレット・ファーヴとの友情

ロングウェルは、名クォーターバックであるブレット・ファーヴの親友としても知られています。2008年シーズン終了後、ファーヴがニューヨーク・ジェッツからバイキングスへ移籍した背景には、ロングウェルの存在があったと言われています。2010年には、ファーヴの非公式スポークスマンを務め、ファーヴの現役続行に関するメディアからの質問に答え続けました。また、バイキングスのコーチ陣と共に、ファーヴに現役続行を説得するため、チームのチャーター機でミシシッピ州まで赴いたこともありました。同年8月17日、ロングウェルとファーヴがミネソタ州の空港に到着した際には、テレビ局のヘリコプターがロングウェルのSUVを追跡する騒ぎとなりました。

主な記録

パッカーズチーム記録
通算得点：1,054点
FG成功数：226回
最長FG成功：54ヤード

ライアン・ロングウェルは、その正確なキックと、チームへの貢献、そしてブレット・ファーヴとの友情を通して、NFL史にその名を刻んだ名プレースキッカーです。

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