ライビーナ

ライビーナ（Ribena）

ライビーナは、イギリスのカーターズ社が開発し、現在はルコゼード・ライビーナ・サントリー社が製造販売する清涼飲料水です。もともとはクロスグリ（カシス）の果汁を使った濃縮タイプでしたが、現在では国や地域によって、そのまま飲めるタイプや別の果汁を使ったものも販売されています。

歴史

ライビーナの歴史は1938年、イギリスのブリストルに本社を置くカーターズ社が、クロスグリのコーディアル（濃縮果汁飲料）を製造・販売したことから始まりました。製品名は、クロスグリの学名「Ribes nigrum」にちなんで名付けられました。この製造には、ブリストル大学のヴァーノン・チャーリー博士が開発した、果実をペクチナーゼで処理する製法が用いられました。

第二次世界大戦中の1939年、イギリスは物資不足に陥り、特にドイツの潜水艦Uボートの脅威により、かんきつ類が手に入りにくくなりました。そこで、ビタミンCが豊富なクロスグリが代替ビタミン源として注目され、イギリス政府が栽培を奨励しました。1942年からは、国内の子供たちへの無償配給のため、ほとんどすべてのクロスグリが濃縮果汁飲料に加工されました。戦後も、クロスグリの濃縮果汁飲料はイギリスで広く親しまれ、1947年には新工場が建設されました。

1955年、カーターズ社はビーチャム社に買収され、その後の合併によりグラクソ・スミスクライン社の一部となりました。これにより、ライビーナはイギリスと関係の深い国々でも販売されるようになりました。1990年代にはイギリスで缶入り炭酸飲料も発売されましたが、販売は振るわず、すぐに市場から姿を消しました。

2004年、ニュージーランドで販売されているライビーナに含まれるビタミンCの量が、表示されている量よりも少ないことが発覚しました。公正取引委員会による調査の結果、虚偽広告として提訴され、2007年にはグラクソ・スミスクライン社がこれを認め、罰金が課せられました。この事件をきっかけに、製品の成分表示が適正化されました。

その後、健康イメージの低下やグラクソ・スミスクライン社の経営環境の変化により、ライビーナは2013年に日本のサントリー食品インターナショナルに売却されました。2014年からは、ロンドン郊外のアクスブリッジに本社を置くルコゼード・ライビーナ・サントリー社が製造販売を行っています。

現在、ライビーナはサントリーの連結会社で製造されていますが、日本市場では2006年からDHCがクロスグリの濃縮果汁飲料タイプを輸入販売しているのみで、サントリー系列での販売はありません。

成分

イギリスで販売されている直接飲用の清涼飲料水の一般的な成分は以下の通りです。

水
砂糖
濃縮還元クロスグリ果汁(6%)
ビタミンC
酸味料（クエン酸）

栄養成分（製品100g当たり）

カロリー: 41 kcal (173 kJ)
飽和脂肪酸: 0g
炭水化物: 10g
うち糖質: 9.9g
食物繊維: 0g
タンパク質: ＜ 0.1g
塩分: ＜ 0.01g
ビタミンC: 32 mg (1日の必要量40mg)

種類

ライビーナは、旧イギリス植民地を中心に世界20数カ国で販売されており、各地で商品構成が異なります。販売されているものには、以下のような種類があります。

濃縮果汁飲料
清涼飲料水
低カロリー清涼飲料水
炭酸飲料

フレーバーも様々で、クロスグリの他、以下のようなものがあります。

無糖クロスグリ
ウインター・スパイス
無糖サマーフルーツ
マンゴー・ライム
イチゴ
パイナップル・パッションフルーツ
オレンジ・グァバ
リンゴ
オレンジ
* 無糖オレンジ

応用

濃縮果汁飲料は、水で希釈して飲むだけでなく、牛乳や炭酸水、アルコールで割ったり、かき氷やヨーグルトのシロップとして利用したり、お菓子の風味付けにも使用できます。また、凍らせてアイスキャンディーにするのもおすすめです。

香港の喫茶・食堂「茶餐廳」では、ライビーナは「利賓納」という名前で親しまれており、レモンスライスを添えたレモン・ライビーナやホット・レモン・ライビーナなども人気があります。

主な販売地域

ライビーナは、イギリスとその旧植民地を中心に販売されています。ヨーロッパ、アフリカ、オセアニアの一部の他、アジアでは香港、マレーシア、シンガポールなどで販売されています。

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