ライ王のテラス

ライ王のテラス

ライ王のテラスは、カンボジアのアンコール遺跡群に属するアンコール・トムの王宮前に位置する遺跡です。象のテラスのすぐ北側にあり、その独特な構造と歴史的背景から多くの観光客や研究者を惹きつけています。

構造と歴史

このテラスは、12世紀末にジャヤーヴァルマン7世の時代にバイヨン様式で建設されました。一辺約25メートル、高さ約6メートルのU字型構造を持ち、王族の火葬場として使用されていたという説もあります。テラスの壁面は二重構造になっており、1911年に内側の壁面にレリーフが発見されました。これは、初期の壁面が崩れる前に外壁を拡張し、元の壁を土砂で埋めたためだと考えられています。1994年からはフランス極東学院（EFEO）によって修復が行われ、南東部分では二重構造の壁面が公開されています。

名称の由来

現在の「ライ王のテラス」という名称は、15世紀にこの場所で発見された彫像に由来します。片足を立てて座るこの像は、ヒンドゥー教の死の神であるヤマ（閻魔）を表現しているとされています。像が「ライ王」と呼ばれるようになったのは、変色や苔の付着により、ハンセン病患者を連想させたためです。また、ハンセン病を患ったとされるアンコールの王、ヤショーヴァルマン1世の伝説とも結び付けられました。しかし、カンボジアの人々には、この像は本来「ダルマラーヤ」として知られており、その名前は像の基部に刻まれていたとされています。

伝説と現状

遺跡と彫像を見た後世の人々は、クメール王朝の歴史について様々な憶測を巡らせてきました。現地の人々は、この像が伝説の王を表していると信じています。高さ約1メートルのこの像は、現在プノンペン国立博物館に収蔵されており、テラスにはレプリカが置かれています。ライ王のテラスは、その歴史的な背景だけでなく、数々の伝説によって、アンコール遺跡の中でも特に神秘的な場所として知られています。

その他の情報

この遺跡は、三島由紀夫の最後の戯曲の題材にもなっており、文学的な側面からも注目されています。

関連項目

• - アンコール遺跡
• - アンコール・トム
• - 三島由紀夫『癩王のテラス』

外部リンク

Leper King Terrace - khmer-heritage.de - （写真）

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