ラスト・コンサート・イン・ジャパン

『ラスト・コンサート・イン・ジャパン』は、1975年12月に東京で行われたディープ・パープルのライブを収録したアルバムです。このアルバムは、1976年12月に亡くなった当時のギタリスト、トミー・ボーリンを追悼する意味合いも込められ、1977年3月に日本、ドイツ、オーストラリアなどでリリースされました。

制作の背景

1975年、リッチー・ブラックモアの脱退後、トミー・ボーリンが加入し、第4期ディープ・パープルが始動しました。同年10月にはアルバム『カム・テイスト・ザ・バンド』を発表し、11月からワールドツアーを開始。その一環として、12月に日本公演が行われました。1972年の初来日公演を収録した『ライヴ・イン・ジャパン』が好評だったため、主催者側は今回の公演もライブレコーディングと映像撮影を計画し、バンド側の了承を得ていました。東京公演が行われた日本武道館には、14,000人を超える観客が集まりました。

演奏と評価

しかし、ボーリンはドラッグ中毒が悪化し、さらに来日前に左腕を負傷していたため、満足な演奏ができませんでした。デイヴィッド・カヴァデールの声の調子も悪く、ブラックモア不在の『カム・テイスト・ザ・バンド』への評価も賛否が分かれたため、第4期ディープ・パープルの評価は低いものとなりました。

1976年7月、バンドは解散を発表。同年12月、ボーリンは薬物の過剰摂取により亡くなりました。翌1977年3月、パープル・レコードとワーナー・ブラザース・レコードは、追悼の意を込めて本作をリリースしました。しかし、グレン・ヒューズは「リリースすべきではなかった」と語り、ジョン・ロードも「金のためだった」と述べています。

アルバムの内容

本作は、コンサートの一部を収録したダイジェスト版です。実際の曲順とは異なり、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「幸運な兵士」「ウーマン・フロム・トーキョー」はメドレーとして編集されています。ボーリンのギターの音量が意図的に下げられたため、ロードのキーボードが目立つ仕上がりになっています。イアン・ペイスのドラミングは全体を通して活発で、アルバムの要となっています。ロードはアンコール曲「ハイウェイ・スター」で、キーボードソロをほとんど演奏していません。これは、彼が来日中に腕を痛め、演奏に支障をきたしていたためだと考えられています。

収録曲

1. 紫の炎
2. ラヴ・チャイルド
3. ユー・キープ・オン・ムーヴィン
4. ワイルド・ドッグ
5. レイディ・ラック
6. スモーク・オン・ザ・ウォーター
7. 幸運な兵士
8. ウーマン・フロム・トーキョー
9. ハイウェイ・スター

参加メンバー

トミー・ボーリン (ギター、ボーカル)
デイヴィッド・カヴァデール (ボーカル)
グレン・ヒューズ (ベース、ボーカル)
ジョン・ロード (キーボード)
* イアン・ペイス (ドラムス)

映像作品

コンサートの模様は映像としても記録され、フィルムコンサートやテレビで放送されました。1985年には、『ライジス・オーヴァー・ジャパン』としてビデオソフトが発売されています。

アメリカ・イギリス盤

本作が発売されなかったアメリカとイギリスでは、2001年に東京公演の全曲を収録した『ディス・タイム・アラウンド: ライヴ・イン・トーキョー』が発売されました。日本でも2003年に紙ジャケット仕様で発売されています。

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