ラヴォ王国

ラヴォ王国は、11世紀頃から1388年まで存在した国家で、その領域はチャオプラヤ川左岸の上流からドヴァーラヴァティー王国の領域にまで及んでいました。発祥地はラヴォ（現在のロッブリー）ですが、11世紀頃には都が南のアヨダヤに移され、これが後のアユタヤ王国になったとされています。

歴史

ラヴォ王国の伝説上の初代王とされるプラヤ・カラヴァーナディトゥは、450年頃にドヴァーラヴァティーの都市国家の一つとしてラヴォの街を建設したと伝えられています。カラヴァーナディトゥはチュラサカラジュと呼ばれる新しい時代を創始し、この紀元はシャム人やビルマ人によって19世紀まで用いられました。7世紀には、チェンラのイシャーナヴァルマン1世が遠征を行い、その影響力をチャオプラヤ谷にまで拡大しました。この結果、ドヴァーラヴァティーの都市群はチェンラの覇権下に入り、ラヴォとして知られるようになりました。西の都市群はスワンナプームを形成しました。

初期のラヴォではモン語が共通語として使われていたと考えられていますが、ラヴォがモン族だけの国であったかどうかについては議論があります。ドヴァーラヴァティー時代初期には、マレー人やクメール人も居住していたと考えられています。歴史家の中には、ラヴォはモン族とラワ族の混合であり、モン族が支配層であったと主張する者もいます。また、ラヴォ王国支配期にタイ族がチャオプラヤ谷に移住してきたという説もあります。

宗教面では、クメールからのヒンドゥー教や大乗仏教の影響を受けましたが、ラヴォでは上座部仏教が主要な宗教として維持されました。7世紀後半には、ラヴォは北へと勢力を拡大しました。モン族の国家であるハリプンチャイ王国の初代支配者チャマデヴィは、ラヴォ王の娘であると伝えられています。

ラヴォ王国の起源に関する資料は限られており、現在知られている情報の多くは考古学的調査によって得られたものです。唐の年代記には、ラヴォ王国が「トウ・ホ・ロ」として唐に朝貢していたという記録があります。玄奘三蔵の日記では、ドヴァーラヴァティー・ラヴォは「トウ・ロ・ポ・チ」という名で、チェンラとパガン王朝の間に位置する国として記述されています。宋の時代には、ラヴォは漢語で羅渦（ロ・ホウ）として知られていました。

10世紀頃、ドヴァーラヴァティーの都市国家群は、ラヴォ（現在のロッブリー）とスワンナプーム（現在のスパンブリー）という二つの曼荼羅に統合されました。北方伝承によると、903年にタンブラリンガの王がラヴォを侵略し、マレー人の王子をラヴォの王に据えました。このマレー人王子は、アンコールの大虐殺を生き延びたクメール人の王妃と結婚し、その息子がクメール王スーリヤヴァルマン1世となりました。この結果、ラヴォはクメールの属国となりました。

スーリヤヴァルマン1世は領土をイサーン地方にまで拡大し、多くの寺院を建立しました。11世紀には、ビルマ系のパガン王朝の成長により、ラヴォに対するクメールの影響は弱まりました。1087年には、パガン王のチャンシッターによってラヴォが侵略されましたが、ラヴォ王のナライはこれを撃退し、クメールとパガンの間で存在感を増しました。ナライは都をアユタヤに移し、西のスワンナプーム王国にも影響を及ぼし、徐々に都市を奪っていきました。

ジャヤーヴァルマン7世の時代にもクメールによる侵略が続きましたが、この時期にラヴォはクメール文化に同化し、ヒンドゥー教と大乗仏教が主流となりました。クメールの影響は、ラヴォの芸術や建築にも及び、プラーン・サームヨート寺院がその代表例です。

1239年には、スコータイのタイ族支配者がラヴォからの独立を宣言し、スコータイ王朝が成立しました。タイの年代記では、ラヴォは「クメール」と呼ばれており、13世紀にはスコータイ王のラームカムヘーンの拡大政策によって徐々に領土を失い、中心地であるラヴォやアユタヤも奪われました。

アヨダヤ王国第10代王（ナライを初代とした場合）のヴォラチェトゥは、アユタヤ王国のラーマーティボーディー1世（ウートーン）と同一視されています。ラヴォのラーマーティボーディー1世とアユタヤ王のパグワは、共に新アユタヤ市を創建し、ラーマーティボーディー1世がアユタヤの王となりました。しかし、1370年にはパグワがアユタヤをラーマーティボーディー1世の息子のラーメースワンから奪い、ラーメースワンは故郷のラヴォに戻りました。1388年には、ラーメースワンがアユタヤをパグワの子のトーンチャンから奪い返しました。その後、パグワの甥であるナカリンタラーティラートが、1424年にアユタヤをスワンナプーム王国に取り戻しました。ラヴォの関係者は粛清されましたが、16世紀まで一貴族として存続しました。

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