リゾートうみねこ

リゾートうみねこ

リゾートうみねこは、東日本旅客鉄道（JR東日本）がかつて八戸駅と久慈駅の間を結ぶ八戸線で運行していた観光列車、そしてその専用車両の愛称です。普通列車の愛称として鳥類の名前が採用された、全国でも珍しい事例の一つでした。

運行開始の背景と概要

2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興支援、および東北新幹線八戸駅〜新青森駅間の全線開業に合わせた青森デスティネーションキャンペーンの一環として、同年4月29日に運行を開始しました。

この列車は、それまで使用されていたジョイフルトレイン「きらきらみちのく」を改造して誕生しました。

当初の計画では、八戸駅から八戸線、三陸鉄道北リアス線を経由して宮古駅まで運行し、さらに「さんりくトレイン宮古」と接続して山田線経由で盛岡駅へと至る広域な周遊ルートを形成する構想でした。しかし、震災により三陸鉄道が甚大な被害を受け、全線復旧まで時間を要したため、運行開始当初は八戸線内のみでの暫定的な運行となりました。運行開始当初は、当時運転を再開していた八戸〜階上間を1日1往復する形でスタートしました。2012年3月17日、八戸線が全線で運転を再開すると、運行区間は八戸〜久慈間に延長され、主に1日1往復体制となりました。

運行形態

リゾートうみねこは、主に土休日を中心に運転され、通常の普通列車のダイヤを利用して運行されました。このため、当列車の運転がない日には、同じ時刻に通常の普通列車が設定されていました。

三陸鉄道北リアス線の一部区間が復旧した後の2012年4月28日からは、八戸〜田野畑駅間での直通運転を一時的に実施しました。三陸鉄道線内では全車自由席扱いでした。しかし、この直通運転は同年9月30日をもって終了し、再び八戸線内の八戸〜久慈間での運転に戻りました。

座席は、上り列車（久慈発八戸行）では1号車が、下り列車（八戸発久慈行）では3号車（いずれも列車の先頭車両）が指定席となり、乗車には指定席券が必要でした。その他の車両は自由席でした。

使用車両

使用された車両は、八戸運輸区に所属していたキハ48形気動車の3両編成（キハ48 1505・1506・1534）でした。これらの車両は、先代の「きらきらみちのく」から改造されたものであり、車体の基本的な構造は引き継がれていました。

旅客サービスの向上として、前面と側面の窓は車窓からの眺望に配慮して拡大され、UVカット機能付きの固定窓が採用されました。外観の塗装は、八戸線沿線の美しい海をコンセプトとしてデザインされています。車体の上半分は澄んだ「空の青」、下半分は太平洋の「深い青」を表現し、その間のオレンジの帯は「水平線から昇る太陽（サンライズ）」をイメージしたものでした。また、エンジンの換装や屋根上への冷房装置設置といった性能向上も図られています。

車内空間は車両によって異なりました。1号車と3号車（キハ48 1505・1506）は、2人掛け＋1人掛けの配列を持つ回転式リクライニングシートが備えられていました。2人掛けシート部分は床が100mmかさ上げされたセミハイデッキ構造となっており、1人掛けシートは窓側を向いた状態で固定できるなど、景色を楽しむための工夫が凝らされていました。これらの車両には、新たにトイレ、洗面所、喫煙室も設置されました。

一方、中間車の2号車（キハ48 1534）は座面が畳敷きとなったボックスシートで、背もたれが高いセミコンパートメント風の構造でした。車両の前方には、観光案内映像や運転室からの前面展望映像などを映し出すことができるモニターを備えた情報コーナーが設けられ、乗客に様々な情報を提供しました。

終焉

車両の老朽化に伴い、リゾートうみねこは2020年3月29日の運転をもって、臨時列車としての定期運行を終了しました。その後、団体専用列車「ありがとうリゾートうみねこ号」として、同年6月14日にラストランを行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行により延期となりました。改めて、2020年9月26日と27日に「ありがとうリゾートうみねこ号」として最終運転が行われ、すべての営業運転を終えました。営業運転終了後、使用されたキハ48形3両は順次、廃車となりました。

リゾートうみねこは、風光明媚な八戸線の旅を彩る存在として、多くの鉄道ファンや観光客に親しまれました。そのユニークな車両と美しい車窓は、八戸線における記憶に残る旅の思い出として語り継がれています。

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