リヒャルト・デーデキント

ユリウス・ヴィルヘルム・リヒャルト・デーデキント

ユリウス・ヴィルヘルム・リヒャルト・デーデキント（Julius Wilhelm Richard Dedekind, 1831年10月6日 - 1916年2月12日）は、ドイツのブラウンシュヴァイク出身の数学者です。代数学と数論を専門とし、19世紀の数学において重要な役割を果たしました。

生涯と業績

デーデキントは、1858年からチューリッヒ工科大学の教授、1894年からはブラウンシュヴァイク工科大学の教授を務めました。彼の名にちなんだ数学用語には、デデキント環、デデキント切断、デデキント無限などがあります。

彼は、基礎解析の算術化と現代的な代数的整数論の構築において中心的な役割を果たしました。環、加群、イデアル、体、ベクトル空間といった現代数学の基礎となる概念を生み出しました。

また、ガウス、ディリクレ、リーマンといった著名な数学者の著作の編集者としても活躍しました。特に、実数の概念を厳密に定義するために導入した「デデキント切断」は、解析学の基礎を大きく進歩させる画期的なものでした。

数学における貢献

デーデキントは、1855年にゲッティンゲン大学でガロア理論に関する最初の講義を行ったことでも知られています。さらに、ディリクレの『整数論講義』の第二版の補遺において、イデアルの基礎付けを行いました。彼の著書『連続性と無理数』（1872年）では、実数の厳密な定義を与える「デデキント切断」を導入しました。また、『数とは何かそして何であるべきか』（1888年）では、自然数を公理的に定義するための「鎖」という概念を提唱し、自然数論の基礎を築きました。これは自然数論の公理的記述における先駆的な業績です。

他の数学者との交流

デーデキントは、多くの優れた数学者たちとの交流を通じて、独自の理論を発展させました。リーマンの友人として、彼の死後にはリーマンに関する伝記を執筆しています。また、カントールとの交流は、初期集合論の発展のきっかけとなりました。これらの交流は、デーデキントの数学的な考え方を深める上で重要な役割を果たしました。

主な著書

『連続性と無理数』 (1872年): 実数の厳密な定義を「デデキント切断」を用いて与えた。
『数とは何かそして何であるべきか』 (1888年): 自然数を公理的に定義するための「鎖」という概念を導入した。

参考文献

Dedekind, Richard (1963), Essays on the Theory of Numbers, Dover Books on Mathematics (reprint originally published by Open Court Publishing Co., 1901 ed.), Dover Publications, ISBN 978-0-486-21010-0
デーデキント『数について　連続性と数の本質』河野伊三郎 訳、岩波書店〈岩波文庫 青924-1〉、1961年11月16日。ISBN 978-4-00-339241-6
リヒャルト・デデキント『数とは何かそして何であるべきか』渕野昌 訳・解説、筑摩書房〈ちくま学芸文庫 テ9-1 Math & Science〉、2013年7月10日。ISBN 978-4-480-09547-3
ディリクレ、デデキンド『整数論講義』酒井孝一 訳・解説、共立出版〈現代数学の系譜 5〉、1970年3月5日。ISBN 978-4-320-01158-8
Bell, Eric Temple (1986), Men of Mathematics, New York: Simon and Schuster, (Hardcover) ISBN 978-0-671-46400-4/(Paperback) ISBN 978-0-671-62818-5
E・T・ベル『数学をつくった人びと』 第3巻、田中勇・銀林浩 訳、早川書房〈ハヤカワ文庫 NF 285〉、2003年11月。ISBN 978-4-15-050285-0

外部リンク

Richard Dedekind - MacTutor History of Mathematics archive
デーデキント作品集（プロジェクト・グーテンベルク）

デーデキントの業績は、現代数学の基礎を形成する上で非常に重要なものであり、その影響は今日でも色褪せることはありません。

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