リュウキュウカラスザメ

リュウキュウカラスザメ（Etmopterus bigelowi）

リュウキュウカラスザメは、カラスザメ科に属する深海性のサメで、全世界の深い海底や中層に生息しています。生息深度は110メートルから1000メートルに及び、特に海洋の大陸棚や海嶺などに広く分布しています。この種は、細長い体型と大きな頭を持ち、特徴的な乱雑に並んだ皮歯を有していることが特徴です。最大では67センチメートルに達し、発光する器官を持つことで知られています。食性は、主に小型のイカや魚類、魚卵を摂取し、卵胎生で繁殖します。国際自然保護連合（IUCN）はこの種の保全状況を「軽度懸念」としています。

分類

リュウキュウカラスザメは1993年に日本の魚類学者、白井滋と立川浩之によって新たに分類されました。彼らは、従来は単一種とされていたカラスザメ（E. pusillus）の中に、この新しい種が存在することを発見しました。この新しい種の名前は、海洋生物学者であるHenry B. Bigelowにちなんで名付けられました。彼は、カラスザメ類の研究に貢献した学者として知られています。

分布

リュウキュウカラスザメは、さまざまな海域で発見されています。大西洋ではメキシコ湾、アルゼンチン、西アフリカ南部や南アフリカ沖で報告され、インド太平洋ではオーストラリアの沖や沖縄、天皇海山群、およびナスカプレートの周辺でも確認されています。外洋の中層や海底では、110メートルから700メートル、さらには163メートルから1000メートルの深度に生息することが知られています。また、成体においては、幼体とは異なる深さでの生息が観察されています。

形態

リュウキュウカラスザメは、細長い体に加えて、大きな頭と短い尾を持っています。吻はくさび型で平たい形状をし、鼻孔は大きく、前鼻弁が短いのが特徴です。眼は楕円形で、眼窩は深く凹み、口元には特徴的な長い溝があります。上顎には19から24本、下顎には25から39本の歯があり、上顎の歯は細く小さな尖頭が隣接しているのが顕著です。特に雄では、サイズが大きくなるにつれて小尖頭が増加します。背鰭や胸鰭の位置も特有で、第一背鰭は腹鰭に近く、第二背鰭は1.5倍の大きさを持ちます。皮歯は切り株状で、密に配置され背面は茶色から灰色のグラデーションが見られます。

生態

このサメの食性は多岐にわたり、特にイカや小型のツノザメ、ハダカイワシ、魚卵を中心に摂取します。卵胎生であるため、胚は卵黄栄養で育成され、出生時は約16センチメートルの長さになります。成熟に関しては、雄は全長31から39センチメートル、雌は38から47センチメートルに達することで性成熟となることが確認されています。

人との関連

リュウキュウカラスザメ自体は無害であり、経済的な価値もありませんが、深海での漁業活動において混獲されることがあります。現時点で漁獲圧の高い証拠は見当たらず、広範な分布域を持つため、保全のための具体的な対策が求められています。本種の研究は、深海生物多様性の理解を深める上でも重要です。

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