リンクス歩兵戦闘車

リンクスファミリー概要

リンクス（英文名: Lynx）は、ドイツのラインメタルによって開発された装軌式の歩兵戦闘車やその他の装甲戦闘車両群を指します。このファミリーは、軍事市場において既存の車両の欠けている部分を補完する目的で、プライベートベンチャーとして進められました。2016年のユーロサトリで初めて軽量モデルのKF31が公開され、2018年にはより大型のKF41が展示されました。さらに、2022年には120mm砲を備えたリンクス120が発表され、軽戦車型として注目を集めました。

設計と機能

リンクスの基本設計は、従来の装軌式歩兵戦闘車を踏襲しています。車体前方にはリープヘル製のディーゼルエンジンが搭載され、操縦席は左側に配置されています。車両後方の兵員室はモジュール構造で、歩兵戦闘車型、装甲兵員輸送車型、指揮車両型など、さまざまなバリエーションに柔軟に対応できます。

走行装置はトーションバー式で、高い信頼性を誇ります。さらに、変速機にはプーマ装甲歩兵戦闘車が使用され、操縦席はコディアック装甲工兵車と共通化されています。NBCシステムもボクサー装輪装甲車と類似しており、コストダウンを図りながら保守性の向上にも寄与しています。

装甲については詳細は非公表ですが、対戦車兵器や榴弾砲の破片からの防護に加え、戦闘室には飛散防止内張りや二重床設計が施されています。また、必要に応じてアクティブ防護システム（AMAP-ADS）の装備が可能です。

主武装には、ラインメタル製の30mmまたは35mm機関砲が搭載され、副武装として7.62mm同軸機関銃のほか、対戦車ミサイルや無人航空機発射装置を装備できる設計となっています。これにより、さまざまな戦闘状況に対応することができます。

各モデルの紹介

• - KF31: 重量は35-38トンで、乗員3名と兵士6名が搭乗可能です。750hpのエンジンを搭載し、最高速度は65km/hに達します。

• - KF41: こちらは重量44-50トンで、乗員3名に加え兵士8名が乗れる構造です。エンジンは1,140hpで、最高速度は70km/hに達します。

どちらのモデルも、歩兵戦闘車型の他、装甲兵員輸送車、指揮通信車、偵察車両など、さまざまな構成が可能です。加えて、KF41の車体に120mm砲塔を装備したリンクス120も提案されています。

運用状況と国際展開

リンクスの導入国としてはハンガリーがあり、2020年には218両のKF41を発注しました。初回納品は2022年に行われ、ライセンス生産も予定されています。また、オーストラリア陸軍では戦闘支援型のリンクスCSVが約100両導入される予定です。

イタリアやギリシャ、アメリカ合衆国でも運用が検討されており、軍事車両の更新や後継車両としての採用が期待されています。

一方で、オーストラリアやスロバキア、チェコでは競争に敗れ不採用となった経緯もあり、競争の激しさが伺えます。特にイタリアでは、ラインメタルとレオナルドの合弁会社設立が進んでおり、リンクスの採用が期待されています。

結論

リンクスファミリーは、最新の技術と設計を駆使して多様な戦闘シーンに対応できる優れた装甲戦闘車両を提供しています。各国の軍隊による導入が進む中、今後の展開にも注目です。

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