リングマガジンカムバック・オブ・ザ・イヤーとは？意味をやさしく解説

リングマガジンカムバック・オブ・ザ・イヤー

「カムバック・オブ・ザ・イヤー（Comeback of the year）」は、アメリカ合衆国のボクシング専門誌であるリングマガジンが毎年選出する、年間表彰の一つです。

この賞は、単に優れた戦績を上げたボクサーに贈られるのではなく、一度キャリアの低迷や深刻な困難に直面しながらも、見事に復活し、再び輝かしい活躍を見せた選手に与えられます。怪我からの復帰、長期のブランク、あるいは予期せぬ敗北からの立ち直りなど、その背景にはボクサーそれぞれの壮絶なドラマがあり、不屈の精神と努力が称賛の対象となります。

リングマガジンは1922年創刊という長い歴史を持ち、その選定する年間各賞はボクシング界において非常に高い権威を持っています。カムバック・オブ・ザ・イヤーもまた、ボクサーにとって名誉ある勲章の一つとされています。

歴史とその軌跡

このカムバック賞は1980年に始まり、多くの感動的な復活劇を称えてきました。初代受賞者には日本の大熊正二が名を連ねています。彼は世界王座陥落後に再起し、この栄誉に輝きました。その後も、歴史に名を刻む多くのレジェンドたちがこの賞を受賞しています。

特筆すべきは、「石の拳」の異名を持つロベルト・デュランです。彼は1983年と1989年の二度にわたりカムバック賞を受賞しており、そのキャリアの中で複数回の復活を果たした稀有な例と言えます。また、ヘビー級の伝説ジョージ・フォアマンが40代で世界王座に返り咲いた1994年や、壮絶な事故から奇跡的にリングに復帰したビニー・パジェンサ（1991年）の受賞は、特に印象深いエピソードとして語り継がれています。近年では、メンタルヘルスの問題から立ち直り、ヘビー級のトップ戦線に返り咲いたタイソン・フューリー（2018年）のようなケースも、この賞の意義を物語っています。

2022年には日本の寺地拳四朗が受賞しました。一度王座から陥落し、さらにリング外での問題も抱えながらも、見事に世界王座に返り咲いた彼の復活劇は、日本のファンに大きな感動を与えました。

一方で、選定基準に満たなかった年もあり、2012年には「該当者無し」とされています。

歴代受賞者

リングマガジンカムバック・オブ・ザ・イヤーの主な受賞者は以下の通りです。

1980年代

1980年 - 大熊正二
1981年 - ジミー・ヤング
1982年 - ボビー・チャコン
1983年 - ロベルト・デュラン
1984年 - マービン・ジョンソン
1985年 - ルペ・ピントール
1986年 - エドウィン・ロサリオ
1987年 - フランキー・デューテ
1988年 - マイケル・ドークス
1989年 - ロベルト・デュラン (2回目)

1990年代

1990年 - トニー・ロペス
1991年 - ビニー・パジェンサ
1992年 - アイラン・バークレー
1993年 - ザック・パディラ
1994年 - ジョージ・フォアマン
1995年 - アズマー・ネルソン
1996年 - ダニー・ロメロ
1997年 - ヴィンス・フィリップス
1998年 - コンスタンチン・チュー
1999年 - マイケル・カルバハル

2000年代

2000年 - ヴァージル・ヒル
2001年 - ジョン・マイケル・ジョンソン
2002年 - アルツロ・ガッティ
2003年 - ジェームズ・トニー
2004年 - マルコ・アントニオ・バレラ
2005年 - アイク・クォーティ
2006年 - オレグ・マスカエフ
2007年 - ポール・マリナッジ
2008年 - ビタリ・クリチコ
2009年 - フロイド・メイウェザー・ジュニア

2010年代

2010年 - バーナード・ホプキンス
2011年 - エリック・モラレス
2012年 - 該当者無し
2013年 - マルコス・マイダナ
2014年 - ミゲール・コット
2015年 - バドゥ・ジャック
2016年 - アンドレ・ウォード
2017年 - サダム・アリ
2018年 - タイソン・フューリー
2019年 - ジャメル・ヘリング

2020年代

2020年 - ローマン・ゴンサレス
2021年 - キコ・マルチネス
* 2022年 - 寺地拳四朗

リングマガジン カムバック・オブ・ザ・イヤー