レーモン・ド・ポワティエ

レーモン・ド・ポワティエの生涯と業績

レーモン・ド・ポワティエ（Raymond de Poitiers, 1099年? - 1149年6月29日）は、1136年から1149年までアンティオキア公国の支配者として知られています。彼はアキテーヌ公兼ポワティエ伯のギヨーム9世と、フィリッパ・ド・トゥールーズの間に生まれた次男で、ギヨーム10世の弟としても知られています。レーモンは、若くして重要な政治的役割を果たすこととなります。

初期の人生と結婚

レーモンは、5歳で結婚し、10歳のアンティオキア女公コンスタンスと結びつきます。この結婚は、彼女の母であるアリックスから公国を救うためのものでした。アリックスはレーモンをコンスタンスの夫となることで、女公を法的に保護しようとしましたが、結果的に彼女は亡命することになりました。

帝国との衝突

レーモンの治世初期には、東ローマ帝国皇帝ヨハネス2世コムネノスとの激しい対立が存在しました。1140年代の初めに、皇帝はアンティオキアを包囲し、レーモンはその支配下に置かれることを余儀なくされました。彼は忠誠を誓わされ、領地の一部を譲渡することとなりますが、これは後に彼自身に不利な状況を生むことになります。

総司教の選出と再びの対立

レーモンは、総司教の選挙に対する疑念を抱きつつも、1139年に総司教が退位することになります。その後も彼は皇帝に包囲され、以前とは異なり服従を拒む強い姿勢を見せました。彼の抵抗にもかかわらず、帝国軍は暴虐を極め、地域を荒らしました。1143年には新たな皇帝マヌエル1世コムネノスからも厳しい要求を受けます。

第2回十字軍と家族の影響

1148年、フランス王ルイ7世とその王妃アリエノールがアンティオキアを訪れました。この時、レーモンは南方へ進軍せず、アンティオキアに留まるよう求めます。しかし、彼とアリエノールの親密な関係が周囲に誤解され、ルイ7世の疑念を招いてしまいました。これにより、フランス王は早々にアンティオキアを離れることになります。

最期と子孫

1149年6月、レーモンはイナブの戦いでヌールッディーンと激しく戦い、戦死しました。この際、彼の首はサラディンの叔父に奪われ、その後、カリフへの贈り物として送られることになります。レーモンはコンスタンスとの間に3人の子ども、ボエモン3世、マリー、フィリッパを残しました。

レーモン・ド・ポワティエは、彼自身の力や信念、また時代背景が交錯する中で、アンティオキア公国の歴史に深い足跡を残しました。彼の統治は困難の連続でしたが、その中でも彼は一貫して公国を守ろうとした数少ない指導者の一人です。

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