ロタ海軍基地

ロタ海軍基地：スペインとアメリカの共同運用拠点

ロタ海軍基地（Naval Station Rota）は、スペインのアンダルシア州カディス県に位置し、スペイン海軍とアメリカ軍が共同で利用する軍港および軍用飛行場です。カディス湾に面した港湾施設と、内陸部の滑走路エリアから構成され、在スペインのアメリカ軍施設としては最大規模を誇ります。

基地の概要

基地はスペイン海軍の管轄下にあり、司令官は同海軍の中将が務めています。港湾と飛行場が一体化しており、軽空母とその艦載機部隊の基地としての機能も有し、スペイン海軍の主要な軍港となっています。アメリカ海軍将兵や海兵隊員とその家族のための住宅も整備され、アメリカ陸軍と空軍の分遣隊も配置されています。また、ロッキードC-5やボーイングC-17といった大型輸送機の離着陸を可能とする滑走路を備えており、北大西洋条約機構（NATO）加盟国軍への給油拠点としての役割も担っています。

基地内では、スペイン海軍航空隊のヘリコプターのほか、マクドネル・ダグラスAV-8BハリアーII VTOL攻撃機やセスナ機なども運用されています。

歴史的背景

ロタ海軍基地の歴史は、1953年9月にスペインとアメリカの間で締結された経済協力と防衛に関する協定に遡ります。当時のスペインはフランコ将軍の統治下にあり、国内経済の立て直しと国際的な孤立からの脱却を目指していました。この協定に基づき、アメリカはカディス湾北部のロタとエル・プエルト・デ・サンタ・マリアにまたがる6,100エーカー（約24平方キロメートル）以上の敷地に基地を建設しました。基地建設はスペイン海軍港湾局の監督下で進められました。

冷戦時代、ロタ基地はその戦略的重要性から、両国にとって重要な拠点となりました。基地はスペイン海軍が管理していますが、アメリカ軍の使用は自由で、使用料は支払われていません。基地内では、アメリカ国旗の掲揚はアメリカ独立記念日を除き認められていません。

1964年、アメリカ海軍は第16潜水戦隊（SUBRON 16）をロタ基地に配備し、潜水母艦「プロテウス」を派遣しました。戦略原子力潜水艦「ラファイエット」は、初の戦略抑止哨戒を終えた後、ロタに入港し、修理と補給を行っています。その後、「ラファイエット」は4年間ロタを母港として活動しました。1970年代初期には、第16潜水戦隊の装備がポラリスミサイルからトライデントミサイルへと転換されました。

1975年の協定改正により、第16潜水戦隊はアメリカ本土へ撤退することになり、1976年11月には、ジョージア州のキングズベイ海軍潜水艦基地に移転することが発表されました。

冷戦終結後の基地

1980年代初頭、ロタ海軍基地の要員数は最大規模に達し、16,000人の将兵とその家族が居住していました。前方展開部隊として、第2艦隊偵察飛行隊（VQ-2）と第22艦隊兵站支援飛行隊（VR-22）が常駐していました。VQ-2は1959年から2005年までロタに駐留し、その後ワシントン州のホイッドビー・アイランド海軍航空基地に移転しました。VR-22はC-130F輸送機を運用し、1992年に解散しました。

1990年代初頭、ロタ基地はアゾレス諸島のラジェス航空基地と共に、アメリカ本土を拠点とするP-3オライオン哨戒機部隊の前方展開拠点となり、大西洋や地中海でのソ連艦艇の追跡に重要な役割を果たしました。

冷戦終結後、アメリカ海軍は軍縮を進めましたが、ロタ基地は依然として重要な役割を担っています。米海軍は6,000エーカーの土地を維持し、軍人とその家族約4,000人が居住しています。

現在の部隊編成

ロタ海軍基地には現在、以下の部隊が配備されています。

第60駆逐隊（DESRON 60）
アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「カーニー」（USS Carney, DDG-64）
アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ロス」（USS Ross, DDG-71）
アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ドナルド・クック」（USS Donald Cook, DDG-75）
アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ポーター」（USS Porter, DDG-78）
アメリカ海軍爆発物処理班第8機動隊

まとめ

ロタ海軍基地は、スペインとアメリカの協力関係を象徴する重要な軍事施設です。冷戦時代から現代に至るまで、戦略的に重要な役割を果たし続けており、両国の海軍作戦を支える不可欠な拠点となっています。


外部リンク
（スペイン語） Base Naval de Rota.- Bienvenida
（英語） Naval Station Rota

もう一度検索