ロドニー・アノアイ

ロドニー・アノアイ：巨星、そしてその短い生涯

ロドニー・アノアイ(1966年10月2日-2000年10月22日)。アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ出身のプロレスラーにして、レスリング史に名を刻んだ伝説の一人である。WWF(現WWE)でのリングネーム『ヨコズナ』、新日本プロレスでの『グレート・コキーナ』として知られる彼は、数々のタイトルを獲得し、世界中のプロレスファンを魅了した。

アノアイ・ファミリーとプロレスラーとしてのキャリア

アノアイ・ファミリーという、レスラー一家に生まれたアノアイ。その血を受け継ぎ、伯父であるワイルド・サモアンズのアファ・アノアイとシカ・アノアイから指導を受け、1984年にプロレスラーとしてデビューを飾る。当初はコキーナ・マキシマスとしてAWAやCWFなどを転戦。その後、1988年8月、グレート・コキーナとして新日本プロレスに初来日。主に従兄であるサムラ・アノアイとのタッグチーム『新日版サモアン・スワット・チーム』で活躍した。巨体ながら抜群のレスリングセンスを持ち、当時の新日本プロレスの現場監督であった長州力からも高く評価されていたという逸話も残されている。

WWFでの成功：ヨコズナの誕生

1992年、アノアイはビンス・マクマホンによってWWFと契約。ここで彼に与えられたリングネームが『ヨコズナ』だった。設定は日本の大相撲の元力士で、親方を殴って廃業、ホームレス同然の生活を送っていたところをミスター・フジにスカウトされたというもの。マネージャーにミスター・フジを迎え、当時WWFがステロイド問題で批判を受けていたこともあり、巨体と強烈なキャラクターで瞬く間にトップレスラーの仲間入りを果たす。赤いサポーターとまわし風の衣装、大銀杏とは程遠い髪型という、日本人にはやや違和感のある風貌ながらも、200kgを超える巨体から繰り出す『バンザイ・ドロップ』を武器にヒールとして大活躍。

1993年のロイヤルランブルで優勝、レッスルマニア9ではブレット・ハートを破りWWF世界ヘビー級王座を獲得。しかし、直後にハルク・ホーガンに敗れるも、キング・オブ・ザ・リングでホーガンから王座を奪還。レッスルマニア10まで9ヶ月間王座を防衛し続けた。その後もブレット・ハートとの再戦で王座を失うものの、オーエン・ハートとのタッグでWWF世界タッグ王座も獲得するなど、活躍を続けた。日本にもヨコズナとして来日し、天龍源一郎らと対戦したこともあった。

晩年と死

デビュー当時から増え続けた体重は、最終的には約350kgに達するまでに膨れ上がり、WWFから減量のため出場停止を命じられる。しかしダイエットに失敗し、1997年にWWFを解雇された。そして、イギリス遠征中の2000年10月22日、ロンドン市内のホテルで急死。34歳という若さでその生涯を終えた。死因は肥満による狭心症とされている。

レガシーと殿堂入り

2012年、WWE殿堂入りを果たす。インダクターは、彼の従甥であるウーソズ（ジミー・ウーソ&ジェイ・ウーソ）が務めた。ヨコズナとしての彼のインパクトは、現在もなおWWEの歴史に深く刻み込まれている。その巨体、圧倒的な存在感、そして強烈なキャラクターは、プロレス史における重要な一ページを飾っていると言えるだろう。

その他のエピソード

・相撲ギミックへの転向は、日本滞在中に知り合った小錦（当時大関）の影響が大きかったと言われている。
・WWEの看板番組RAWの初回放送で、ヨコズナの試合が放送された。(対戦相手ココ・B・ウェアに勝利)
・リング上での土俵入りは、元大相撲力士のアースクエイクに教わった。1994年5月16日の『マンデーナイト・ロウ』では両者による相撲マッチも行われた。
・大銀杏はゴムで結っていた。また、ピンクのスパッツの着用は、WWF側の判断だった。

ロドニー・アノアイ。その名は、常にプロレス界の伝説として語り継がれていくことだろう。

もう一度検索