ロン・ウルフ

ロン・ウルフ：グリーンベイ・パッカーズを再建した名ゼネラルマネージャー

ロン・ウルフ（Ron Wolf、1938年12月30日 - ）は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州出身の元NFLのゼネラルマネージャー（GM）です。特にグリーンベイ・パッカーズのGMとして、チームを長年の低迷から救い出し、スーパーボウル制覇に導いたことで知られています。

経歴

ウルフは、そのキャリアをスカウトとしてスタートさせました。1963年から1975年までオークランド・レイダースでスカウトを務め、アート・シェル、ジーン・アップショー、ケン・ステイブラー、ジャック・テイタムといった後のスター選手を次々と発掘し、1970年代から1980年代初頭にかけてのレイダースの黄金時代を支えました。チームは第11回スーパーボウルを制覇しています。

1975年には、NFLに新規参入するタンパベイ・バッカニアーズの副社長に就任し、チームの基礎を築きました。しかし、オーナーとの意見の相違から1978年に辞任し、レイダースに復帰。この時代には、ハウィー・ロング、マーカス・アレン、マット・ミレンらを獲得し、チームは第18回スーパーボウルを制覇しています。

1990年、ウルフはニューヨーク・ジェッツに移籍し、その後1991年にグリーンベイ・パッカーズのGMに就任しました。

パッカーズGM時代

パッカーズのGMとして、ウルフはチームを根本的に再建しました。まず、ヘッドコーチとしてマイク・ホルムグレンを招聘し、アトランタ・ファルコンズの控えQBだったブレット・ファーヴをトレードで獲得しました。ファーヴの獲得には、メディカルチェックで古傷が問題視されるという障害がありましたが、ウルフは強権を発動してトレードを成立させました。この決断が、後のパッカーズの隆盛を決定づけました。

また、フリーエージェント制度が導入された1992年には、大物ディフェンシブエンドのレジー・ホワイトを獲得し、守備陣を強化しました。サンタナ・ドットソン、ショーン・ジョーンズも獲得し、ドラフトで獲得したギルバート・ブラウンと合わせて強力なフロントラインを形成しました。

ウルフがGMとして指揮を執った9年間で、パッカーズは92勝52敗（勝率.639）という好成績を収めました。これは、当時のNFLでサンフランシスコ・フォーティナイナーズに次ぐ2位の記録でした。パッカーズは第31回スーパーボウルでニューイングランド・ペイトリオッツを破り、29年ぶりのスーパーボウル制覇を果たしました。翌年の第32回スーパーボウルではデンバー・ブロンコスに敗れたものの、ウルフが作り上げたチームは6回のプレーオフ進出を果たしました。

2001年2月にGMを辞任し、後任にはヘッドコーチのマイク・シャーマンが就任しました。

ウルフの在任中（1992年-1999年）にチームがドラフトで指名した選手のうち、75%にあたる48名が1999年もNFLでプレーしていました。また、タイ・デトマー、マーク・ブルネル、マット・ハッセルベック、アーロン・ブルックスといった、将来性のあるQBをドラフトで発掘する手腕にも長けていました。

その後

2004年には、クリーブランド・ブラウンズのコンサルタントを務めました。2008年には、デトロイト・ライオンズの再建候補として名前が挙がりました。

2000年には、パッカーズの殿堂入りを果たしています。

人物

ウルフは、ブレット・ファーヴ加入以前は、ドン・ハトソンがパッカーズ史上最高の選手だと考えていましたが、後にファーヴこそがチーム史上最も偉大な選手だと語っています。

ロン・ウルフは、その卓越した手腕でグリーンベイ・パッカーズを再建し、長年の低迷から救い出した名GMとして、NFLの歴史に名を刻んでいます。

もう一度検索