ロード (THE 虎舞竜の曲)

THE 虎舞竜「ロード」

「ロード」は、THE 虎舞竜のシングルとして、1993年1月21日に発売され、220万枚（インディーズ盤とTHE 虎舞竜盤の累計）を売り上げた大ヒット曲です。全15章からなる壮大な物語で、特に第1章は、有線放送から人気に火が付き、社会現象を巻き起こしました。TBS系『テレビ近未来研究所』のエンディング曲にも採用され、1996年には同曲を基にした映画も制作されました。

制作背景

この楽曲は、高橋ジョージ氏が1987年の冬に受け取ったファンレターがきっかけで誕生しました。その手紙には、当時19歳だった女性が妊娠しており、相手の男性が「もう子供はいらない」と言っているという悩みが綴られていました。その後、彼女は春に出産を控えていましたが、交通事故で胎児と共に亡くなってしまいます。この悲劇に衝撃を受けた高橋氏が、この出来事を元に「ロード」を制作したとされています。

ただし、高橋氏は、この出来事をベースにしつつも、複数の人物を主人公に設定し、自身の経験や創作も交えて楽曲を構成したと述べています。そのため、「ロード」は単なる実話の再現ではなく、より普遍的な人間の感情を描いた作品となっています。

CD発売

「ロード」の最初の音源は、1992年にリリースされたシングル「こっぱみじんのRock'n Roll」のカップリング曲として収録されました。このバージョンは、1993年リリースのものとはイントロやエンディングが異なっています。

その後、日本テレビの新人オーディションで「ロード」を歌ったことがきっかけで、ディレクターの目に留まり、セルフプロモーションを開始。有線放送で火が付き、人気が急上昇しました。このセルフプロモーションの様子は、TBS系『カウントダウン100』（『COUNT DOWN TV|COUNT_DOWN_TV』の前身）でも放映され、注目を集めました。

1993年、バンド名を「THE 虎舞竜」として再レコーディングされた「ロード」がリリースされると、200万枚を超える大ヒットを記録。『日本有線大賞・有線音楽優秀賞』、『全日本有線放送大賞・特別賞／審査委員会最優秀賞』、『日本レコード大賞・ヒットシングル賞』、『日本ゴールドディスク大賞・ベスト5シングル賞』を受賞しました。

エピソード

「ロード」はダブルミリオンを達成しましたが、THE 虎舞竜はNHK『NHK紅白歌合戦』に出場していません。高橋氏は「ダブルミリオンなのにオファーがなかった」と語っています。

また、「ロード」の大ヒットにより、高橋氏は約16億円もの印税を得たとされています。しかし、高橋氏によると、その印税は2年で使い切ってしまったとのことです。この楽曲の著作権、原盤権などの諸権利を全て自身が保有していたため、現在でも印税は高橋氏に入っています。

曲の構成

「ロード」は当初1曲でしたが、後に全13章で構成されることが明かされました。第1章、第2章、第7章、第13章はサビの歌詞が共通しています（キーは異なる）。

高橋氏は、「ロード」は13章で1つの曲であるとしながらも、全体の演奏時間が1時間を超えるため、シングルとしてリリースするために分割したと説明しています。2017年発売のアルバム「原宿☆ロックンロール☆ヒーローズ」には、ボーナストラックとして第14章が収録されました。

「ロード」シリーズは、1995年までは年に1枚ペースで発表されていましたが、1997年には第4章と第5章が続けて発表され、8cmシングルとしてのリリースはここで終了。残りの第6章から第13章は12cmシングルとしてリリースされました。

2020年には、公式YouTubeチャンネルで「ロード2020」が発表されました（音源リリースはなし）。

各章のタイトル

ロード
ロード～第二章
ロード～第三章
ロード～第四章
届くことのない手紙　ロード～第五章～
12月のワインディングロード ロード～第六章～
ロード～第七章・7/13
ロード～第八章
ロード～第九章
ロード～第十章
ロード～第十一章
ロード～第十二章
ロード～第十三章
ロード～第十四章=愛別離苦
ロード～㐧15章×2 = George Takahashi × May J.|May_J.

各章の別バージョン

ロード（1992年5月21日、シングル）※「THE TROUBLE」名義。シングル「こっぱみじんのRock'n Roll」のカップリング曲として収録。オリジナルバージョン。
ロード（1993年1月21日、シングル） - 売上220万枚。再録音版。c/w「祈り」はテレビ朝日系ドラマ「法医学教室の事件ファイル」第2シリーズ5話の劇中歌に使用。
ロード ～㐧二章（1994年1月1日、シングル） - 売上80万枚。アルバム「追伸」収録曲はバンドバージョン。
シンデレラ ロード～序章～（1994年10月21日、シングル）出会う前の二人をイメージした楽曲。アルバムではアコースティックバージョンを収録。
ロード ～㐧三章（1995年1月1日、シングル） - 売上35万枚。
ロード ～㐧四章（1997年2月12日、シングル）
ベスト〜ロード第4章（1997年2月26日、アルバム）
届くことのない手紙 -ロード ～㐧五章～（1997年6月25日、シングル）
ロード・上巻（2000年1月21日、マキシシングル）第一章から第七章を収録。第一章から第五章は新録音（2000年バージョン）。
ロード・下巻（2001年5月21日、マキシシングル）第八章から第十三章を収録。
THE ROAD（2003年1月21日、アルバム）第一章から第十三章を収録。一部新録音。
ロード／ロード ～第二章（2004年12月22日、マキシシングル）93年、94年バージョン。
THE 虎舞竜 SUPER BEST（2006年8月23日、2010年2月3日（Blu-spec CD）：アルバム）
Tears☆2011（2011年11月2日、アルバム）『ロード～君のぶんまで生きよう』収録。
原宿☆ロックンロール☆ヒーローズ（2017年12月13日、アルバム）
ロード - ザ・ベスト～25th anniversary～（2018年2月21日、アルバム）アビーロード・スタジオで新たにレコーディングされたバージョンなどを収録。
ロード2020（2020年5月21日、動画）公式YouTubeチャンネルにて公開。
ロード～㐧15章×2（2021年2月14日、シングル）May J.|May_J.とのデュエット曲。

オリコンチャート

ロード：最高3位（5週連続）。登場回数35回。1993年年間シングルセールス3位。
ロード 〜第二章：最高5位。登場回数16回。
ロード 〜第三章：最高8位。登場回数9回。
ロード 〜第四章：最高41位。登場回数3回。

映画『ロード』

1996年には、「ロード」を基にした映画が制作されました。コンサートツアーでは、映画上映後にTHE虎舞竜が生演奏する演出が用いられました。この映画は、後にアルバム「THE ROAD」の初回特典DVDとして収録されました。

キャスト

美雪：遠山景織子
司：高橋ジョージ
美雪の母：沢田亜矢子
司の元妻：高橋ひとみ
美容院店長：徳井優
塗装屋社長：地井武男
飲酒店店主：研ナオコ

スタッフ

監督：小田切正明
脚本：渡辺寿
音楽：入江純、THE虎舞竜
製作：ロード製作委員会（テレビ東京、東北新社、トランプス）

2000年代以降の「ロード」

2000年代以降は、高橋ジョージ氏のタレント活動が活発になり、本楽曲がネタとして扱われることも増えました。トヨタのカーナビCMでは、高橋氏が替え歌を歌っています。

2008年には、光岡昌美が「ロード」のアンサーソング「届かない想い…〜ロード another story〜」を発売しました。

また、TBS系のバラエティ番組では、本楽曲が笑いのネタとして頻繁に用いられています。特に、「ロード・イントロ・ドン!」という企画では、イントロやサビの一部を聴いて何章かを当てるというクイズが行われ、高橋氏本人が全問正解したこともあります。

『オールスター後夜祭』では、毎回のように第一章が流れ、本楽曲に関する問題が出題されています。

『水曜日のダウンタウン』では、本楽曲が度々ネタとして取り上げられ、高橋氏が出演することもあります。2019年には、ZOZOTOWNのCMで高橋氏が替え歌を披露しました。

ダイアモンド☆ユカイは、『さんまのSUPERからくりTV』で、自身の浮気をテーマにした替え歌を披露し、2位を受賞しました。

レイザーラモンRGは、第一章のイントロのハーモニカ演奏部分のモノマネを得意としています。2019年には、高橋氏とコラボレーションを行いました。

これらのエピソードからもわかるように、「ロード」は発表から時を経てもなお、多くの人々に愛され、様々な形で影響を与え続けている楽曲と言えるでしょう。

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