ローリング・ストーンズ・レコード

ローリング・ストーンズ・レコード：ストーンズが築いた独自レーベル

ローリング・ストーンズは、1970年にデッカ・レコードとの契約が終了した後、独自のレコードレーベル「ローリング・ストーンズ・レコード」を設立しました。これは、彼らが音楽活動におけるさらなる自由と、作品の制作・流通における主導権を握るための戦略的な選択でした。

レーベル設立当初は、主にメンバーのソロ作品発表を目的としていましたが、実際にはビル・ワイマンのみが自身のソロアルバム『モンキー・グリップ』(1974年)、『ストーン・アローン』(1976年)をリリースしました。これらの作品は、ストーンズのアルバムリリースと時期が重なったため、十分な宣伝や販売機会を得られず、商業的な成功は限定的でした。ワイマン自身もその後、A&Mレコードに移籍しています。また、ブライアン・ジョーンズの遺作『ジャジューカ』もローリング・ストーンズ・レコードから発売されています。キース・リチャーズも1979年にはシングル「ラン・ルドルフ・ラン／ハーダー・ゼイ・カム」を発表しています。

契約交渉は幾度か行われ、1971年には[アトランティック・レコード]]と契約を締結。アメリカではアトコ・レコード、イギリスとその他の地域ではワーナーグループ、日本ではワーナー・パイオニアが配給を担当しました。その後、配給元はアトランティック・レコード、EMI、コロムビア・レコード、CBS、ヴァージン・レコードと変遷し、現在は[[ユニバーサル ミュージック グループ]が世界各地で配給を行っています。日本では、東芝EMI、CBSソニーを経て、現在はUMGの日本法人が担当しています。

興味深いのは、ビートルズのアップル・レコードやレッド・ツェッペリンのスワンソング・レコードとは異なり、ローリング・ストーンズ・レコードは積極的に外部アーティストとの契約を推進しなかった点です。例外として、1973年にはアメリカのバンドKrackerのアルバム『Kracker Brand』とシングル『A Song for Polly』をリリース。また、1978年にはレゲエミュージシャンのピーター・トッシュと契約し、キース・リチャーズが参加したアルバム『ブッシュ・ドクター』や、ミック・ジャガーとトッシュによるデュエット・シングル「ドント・ルック・バック」がヒットしました。

ローリング・ストーンズ・レコードのロゴは、ミック・ジャガーの発案によるもので、ジョン・パッシュがデザインした「tongue」ロゴが有名です。このロゴは、ヒンドゥー教の女神カーリー神の舌をモチーフとしており、しばしばアンディ・ウォーホルによるものと誤解されますが、ウォーホルはストーンズのアルバム『スティッキー・フィンガーズ』と『ラヴ・ユー・ライヴ』のアートワークを担当した人物です。

ローリング・ストーンズ・レコードは、ストーンズの音楽活動に寄り添う形で、彼ら自身の作品や関連プロジェクトを中心に展開されたレーベルでした。外部アーティストへの積極的なアプローチを避けつつ、音楽史に名を残す数々の作品を生み出し、独自の地位を確立しました。その歴史と、象徴的なロゴは、ロック音楽史における重要な要素となっています。

もう一度検索